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行政・自治体 政局 週刊現代

「森友」から「くまモンの飲食費」までチェック…これが会計検査院だ

1000人の調査官が全国を飛び回る
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このところ、しきりに耳にする会計検査院。国や地方自治体が税金を無駄遣いしていないか、チェックすることがその役割だ。そうは言っても政府の一員。いったいどのような検査を行っているのか。

「森友」で忖度はあったか?

会計検査院が存在感を見せつけたのは、いまから1ヵ月ほど前、10月26日のことだった。

産経新聞と共同通信が「森友学園への国有地払い下げに際して、ごみ撤去費用として差し引いた金額が最大で6億円過剰だったと、会計検査院が試算している」とすっぱ抜いたのだ。

この報道を受けて、菅義偉官房長官は激怒してみせた。当日、オフレコ懇談で番記者から「事前に試算を知っていたのか」と問われると、

「なんなの、あの会計検査院の6億って。まだ検査中なんだから、政府が内容を知るわけがない」と語気を荒らげた。

だが、この発言を言葉通りに受け止めることはできない。全国紙社会部記者が明かす。

「本来、会計検査院の検査結果は9月末に出る予定でした。財務省のトップである麻生太郎財務相は検査を受けている側だから、会計検査院がどんな試算をしているか知っていた。

政府内で情報を共有し、菅官房長官も8月中には(試算を)知っていたはずです。政権にとって不利な検査結果が出ると知って、安倍総理が解散を決断したという観測も流れました」

官邸が激怒しているという情報を知り、会計検査院の中堅調査官はこう胸を張った。

「つまり、我々は官邸に忖度はしなかったということです。過去を見ると、現場の調査官が問題点を発見しても、上が押さえ込んでしまうことがよくありました。そういう意味では、今回はやるべきことをやったと言えるのではないか」

 

国会に属さず、内閣からも独立した憲法上の機関で、国民の血税の無駄遣いを根絶する――これが会計検査院に課せられた使命だ。

職員は約1250人。そのうち、約1000人が国の資産が不当に扱われていないか、会計検査を行い、省庁から地方自治体や独立行政法人などを通して支給される補助金の使途を精査する。官公庁や地方自治体にとって「厄介な存在」だ。

森友学園への国有地払い下げについても、会計検査院は売却の経緯に不透明な点があると指摘した。これを受けて、国会では森友学園問題が再燃している。

財務省はごみ撤去費用として約8億2000万円を差し引き、評価額9億5600万円の国有地を1億3400万円で森友学園に売却。森友学園側からの要請でこの金額を公表せず、学園はこれを10年間の分割で支払う異例の契約だった。

さらに、契約に至るまでのやり取りの文書は、「『事案終了』で処分した」(佐川宣寿財務省前理財局長=現国税庁長官)という。

ところが、11月22日に会計検査院が公表した検査結果には「最大で6億円の過大な値引き」という数字が盛り込まれなかった。

土地売却の経緯に「適切とは認められない事態」があったものの、お咎めはなし。「十分に検証」を行い、文書の作成・管理において「必要な措置を講ずること」と指導するに留まった。

現役記者時代に10年以上、会計検査院の担当をしてきた元朝日新聞編集委員の落合博実氏がこう指摘する。

「検査結果は、官邸や財務省、国交省に逃げ道を与える結果になっています。国が見積もったごみの処分量が実際の3~7割だったと指摘したことは、やや踏み込んだ表現ですが、それでも大甘。ごみの撤去費用については具体的な金額に言及しておらず、資料がないからと逃げてしまった。

会計検査院は公金の不正経理摘発には無力ですが、公共事業の工事費の積算は得意分野です。

これまで公共事業などの工事費の積算間違いをずいぶん指摘してきており、今回の森友学園でもその気になれば算出は不可能ではないはずです。報告が上層部に上がっていくうちに、数字が消えてしまったのでしょう」

結局、約8億円もの値引きが妥当だったのかの真相は藪の中。会計検査院は税金の無駄遣いを指摘する機関としての存在感を国民にアピールしつつも、政府の致命傷にならないギリギリのラインを守ったのだ。

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