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米議会が懸念する、トランプが突然「北への核攻撃」を命令する日

実は、それをチェックする仕組みはない

アメリカが核戦争の引き金を引く

北朝鮮が11月29日にICBMの発射実験を行ったことで、ワシントンはトランプ大統領が北朝鮮に対して核兵器を使った先制攻撃を加えるのではないか、という憶測に大きく揺れている。

日本でも政府は盛んに北朝鮮が攻撃を仕掛けてくる可能性があるという観測を流している。だが、人口2500万人の世界最貧国のひとつで、エネルギーすら十分に確保することができない北朝鮮が、巨象に向かって無謀な核先制攻撃を仕掛けると本気で考えるのは、やや異常であろう。

また、多くのメディアは、トランプ大統領のアジア歴訪の間に、北朝鮮が再び挑発的な行動を行うのではないかと指摘していたが、現実には2ヶ月にわたって核実験やミサイル実験を行わなかった。その間に、北朝鮮は非核化に応じる兆候ではないかと楽観的な見通しも聞かれた。

だが北朝鮮は沈黙を破ってミサイル発射実験に踏み切った。その理由のひとつにトランプ大統領が北朝鮮をテロ支援国に指定したことがある。国務省は、事前にその予想をしていた。

また北朝鮮のミサイル発射後、韓国も“ピンポイント・ミサイル”を発射する対抗阻止を取っている。さらに史上最大といわれる米韓合同軍事演習も行われるなど、朝鮮半島の緊張が高まっている。

 

ホワイトハウスの意思の在りか

トランプ大統領は9月19日の国連総会での演説で、「我が国や同盟国を守らなければならない事態に至れば、我々にとって北朝鮮を完全に破壊する以外に選択肢はない」と強い態度を示した。

またホワイトハウスは、さかんに北朝鮮の軍事的脅威を強調している。マティス国防長官は「北朝鮮は世界の平和と地域の平和、そして間違いなくアメリカに脅威を与える大陸間弾道弾の開発を継続している」と北朝鮮に対する厳しいコメントを発表している。マックマスター安全保障担当補佐官も「トランプ大統領は北朝鮮が核兵器でアメリカに脅威を与えないようにするために必要なことは何でもするだろう」とさらに厳しいコメントをしている。

また共和党のリンゼイ・グラハム上院議員は「北朝鮮の核開発、ミサイル開発を阻止しなければならないとすれば、我々は間違いなくそうするだろう。もし戦争が起こるなら、それは北朝鮮が引き起こしたものだ。事態が変わらなければ、我々は北朝鮮と戦争することも辞さない」と語るなど極めて強硬な姿勢を示している。

12月2日、レーガン・ナショナル・ディフェンス・フォーラムに出席したマックマスター補佐官は「北朝鮮はアメリカにとって差し迫った脅威である。脅威は日々強まっている」と発言して、注目された。

さらに記者の質問に対して「軍事衝突以外にも問題に取り組む方法はある。しかし、これは(軍事)競争であり、金正恩は次第に我々に迫ってきている。それほど残された時間はない」と、北朝鮮のミサイル開発の進展が予想以上に早く、脅威は高まっていると答えている。

ただ北朝鮮に軍事攻撃を加えるといった直接的な発言はなく、「もっと厳しい新たな制裁を行わない限り、金正恩はミサイル開発を後退させることはないだろう」と、当面は経済制裁の完全実施と中国に北朝鮮に対する原油輸出の完全停止を求めるとする意向を明らかにした。