経済・財政

現金至上主義者はこれからの時代「社会悪」となるかもしれない

おカネの未来に関する話をしよう
三戸 政和 プロフィール

日本が取り残されてしまう

このような提案をすると、現金主義者からは「現実味がない」と批判をされる。これは、彼らの「最後の叫び」だ。

実は、日本でのETCの普及率は現在90%を超えている。導入当初は「普及するはずがない」という否定的な声もあったが、導入さえされればまったく不可能なことではない。本気でやれば、10年もあればキャッシュレス社会は構築できる。それでも、論拠のない批判をする人がいるだろう。

だが、海外を見てみればいい。

筆者は、ロンドンで事業をしていたことから欧州にはよく行っているが、ロンドンでポンド紙幣に両替したことはない。なぜなら、ほとんどの決済シーンでカード決済が可能だからだ。

飲食店やコンビニ、スーパーなどはもちろん、パパママで経営している雑貨屋さんで水一本買うのでもカード決済が可能だ。日本みたいに、3,000円以下の飲み食いでカードを出して怪訝な顔をされることはまったくない。

 

ちなみに、今、トライアスロンのアイアンマンレースでオーストラリアに1週間ほど滞在し、帰りの飛行機でこの原稿を執筆しているが、両替はせず、一切オーストラリアドルを見ずに滞在を終えた。

また写真のとおり、マクドナルドも、欧州同様、自動オーダーシステムを導入しており、カード決済となっている。「スマイル0円」だって、カードで支払う時代がくるだろう。

さらに先をいっているのが、スウェーデンである。スウェーデンは、国家をあげて脱現金化を進めてきた。これは、脱税やマネーロンダリングの防止が目的で、ひいてはテロの防止のためでもある(テロ組織に流れるカネのほとんどが、現金によるものだからだ)。なんと、教会の寄付もカード決済となっているというから驚きだ。

実際に、現金流通量は、2005年の1000億クローナ(約1兆4000億円)から、2015年には800億クローナ(約1兆1200億円)へと減少していっている。現金流通量が、69兆円から86兆円へと24%増えている日本とは真逆である。

このように、テクノロジーが発達した今日において、現金を利用するメリットはほとんどないことがお分かりいただけたと思う(あるとすれば、お年玉のように、おカネをあげることそのものに意味がある場面のみではないか)。むしろ、その現金を管理する社会的コストのほうが膨大であり、かたくなな現金主義者は、その論拠のない批判によって、社会を停滞させていることを理解し、社会に歩み寄らなければいけない。

自給自足から分業性となり物々交換が生まれた。その後、物々交換が不便であることから生まれた貨幣経済であるが、その主役である現金は、単に信用を表現したものに過ぎない。20年前は、相手の見えないインターネットでものが売れるわけがないといっていたが、今は、インターネットがないと買えないものが増え、完全に生活の一部となった。

現金という目に見えるモノではなく、信用というモノに価値があるだけと考えれば、取引や管理に便利な電子情報だけで十分なのである。

さあ、社会を変えるためにも、「脱現金生活」を実践してみよう。