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自民党はなぜこんなにも医者に甘いのか

医療費、またしても増えそうです
磯山 友幸 プロフィール

2015年度に9.4%も増えた調剤費が2016年度は4.8%減となった。高額の医薬品が大きく増えて調剤費が増大したのに対して、緊急で薬価を引き下げた結果だった。

来年度は2年に1度の薬価改定の年に当たっており、実勢価格に対して高過ぎる薬価の引き下げは当然に行われる。本来ならば、それを医療費全体の削減につなげるべきなのだが、「本体」の引き上げに回されるわけだ。

医師のための自民党か

これでは「国民」よりも「医者」を向いていると言われかねないが、なぜ、自民党は、医者に甘いのか。

「医療費、政界へ8億円 日医連が最多4.9億円提供」という記事が東京新聞の12月1日付けに載った。

「医療や医薬品業界の主な10の政治団体が2016年、寄付・パーティー券購入などで計8億2000万円を国会議員や政党に提供していたことが、30日に総務省が公開した16年分政治資金収支報告書で分かった」としている。日本医師会の政治団体である日本医師連盟(日医連)が約4億9000万円と最多だった、という。

「医療費が政界へ」というのは、医療費として公費や健康保険から医師に支払われているおカネが、回りまわって政治献金になっているという意味である。

政治家や政党に寄付することで、診療報酬「本体」の引き上げを実現しようとしているようにも見えるわけだ。カネの力がモノを言っているということだろうか。

 

もともと、財務省の審議会は11月に診療報酬を「マイナス改定」するよう求めていた。しかも求めた診療報酬の改定幅は「2%台半ば以上のマイナス改定」だった。薬価が大幅に引き下げれても、本体が引き上げられてしまえば、2%台半ばには到底達しない。

国の財政を考える財務省の意向や、保険料を引き上げたくない健康保険組合連合会などの引き下げ意見などをすべて無視する形で、本体部分を引き上げることになりそうだ。

人の命を預かる医師の職場が過酷であることは間違いない。本体を引き上げることで、待遇改善したいという気持ちも分からないではない。だが、猛烈な勢いで増え続ける医療費と、それに伴う国民負担の増加を、医師たちは「当然の事」だと思っているのだろうか。

このまま医療費が増え続ければいずれ、国家財政も家計も、企業の健保組合も破たんしてしまう。それこそ、国民皆保険制度や日本が誇る医療制度の崩壊につながりかねないのではないだろうか。