逃げるは恥だが役に立つ Blu-ray BOX 販売元: TCエンタテインメント
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『逃げ恥』が放送から1年経っても高学歴女子にグサグサ刺さるワケ

それほど鋭い「批評」だった

現実から逃げる女子のココロ

海野つなみ氏原作の人気漫画『逃げるは恥だが役に立つ』(全9巻、講談社)がTBSテレビでドラマ化('16年10月11日から12月20日までTBS系「火曜ドラマ」枠で放送)され、社会現象となった。人気ドラマであってもシナリオ(脚本)が書籍化されることは珍しいが、それだけ現代社会を抉る鋭い内容がこのドラマに含まれているからだ。

大学院を卒業したが派遣会社にしか就職できず、派遣先もクビになった森山みくり(25~26歳、新垣結衣)が、京大卒のシステムエンジニアで「プロの独身」(もちろん童貞)の津崎平匡(35~36歳、星野源)と契約結婚(婚姻届は出さない事実婚)することから生じる人間ドラマを描いている。

みくりには妄想癖があり、自分が置かれた状況を「情熱大陸」の登場人物のように考える(引用中NAはナレーション)。

<4情熱大陸/写真・大学院時代
NA「大学院では心理臨床コースを選択、卒業後に臨床心理士の資格を取得した上で、再び、就職活動に臨んだ」

5情熱大陸/食堂
みくり「甘く見てましたね。まさか文系の大学院卒が、こんなに就職できないとは……」

6情熱大陸/オフィス 働くみくり。
NA「そして彼女は、派遣会社に登録した」

隣の席の派遣社員・川崎さんがみくりにExcel操作を尋ねる。みくり、教えてやる。

みくりの声「最初は、やりたかった仕事でもないし、なんで私がって、正直、思ったりもしました」

× × ×

上司の柴田が来て、
柴田「これ、洗っといて」と、マイカップを差し出す。

みくり「……(笑顔をつくり)はい!」

7情熱大陸/給湯室
みくり、カップを洗いながら。

みくり「洗い物は契約業務外です。でも、いちいち揉めるのも面倒なんで、これくらいは」〉

筆者は複数の大学で教鞭を執っているが、大学院生は二極化している。真面目に研究をしている院生と、就職がうまくいかないというよりも就職活動から逃げている院生だ。

学術研究に関心がないので後者の院生はきちんとした業績を残せないのであるが、大学としてはこういう人がいつまでもいると面倒なので基準に達していなくても修士号を出して追い出す。当然、まともな就職先はない。

結婚に対する「異議申し立て」

〈11オフィス・打ち合わせ室
みくり「……クビ? ですか?」

柴田「クビって。契約終了って言ってよ」

みくり「……ひと月後は、無職……」

 

柴田「派遣会社にはこれから伝えるけども、派遣社員を減らすっていう上の方針でねえ」

みのり「てことは」

× × ×

インサート、川崎さん。

みくりの声「同じく派遣社員の川崎さんも、契約終了ですか?」

× × ×

柴田「彼女の方は、延長」

みくり「はい?」

柴田「どっちか一人選べって、上に言われちゃってさぁ、参っちゃったよぉ」

みくり「……私は、選ばれなかった……」

柴田「君にはさ、うちなんかよりいいとこあるんじゃないかなぁ。大学院まで出て、優秀? なんだし」

みくり「……!」〉

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