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インスタ女子の間で「#韓国人になりたい」流行中の意外と深イイ理由

モデル、企業に取材して分かった
桑畑 優香 プロフィール

韓流コスメが一度失速したものの復活した理由

同じ竹下通りのはす向かいにあるのが、韓国のコスメ会社「エチュードハウス(ETUDE HOUSE)」。15年、この場所から80m離れた原宿寄りの地に初の路面店をオープンした。店内には、アイスクリーム型のリップティント(色を唇にしみこませるリップカラー)や、惑星をモチーフにしたフェイスカラーとアシャドウのマルチパレットなど、カラフルでポップなコスメが並ぶ。

エチュードハウスのマーケティング担当者は、「実は、竹下通りの出店は、復活をかけたものでした」と明かす。11年に新宿ルミネエストにショップを開いて日本上陸し、13年まで順調に業績を伸ばしたものの、韓流ブーム衰退のあおりなどを受けて14年に失速してしまう。ところが、15年にふたたび軌道に乗り始め、現在は日本全国に21店舗を展開。その3分の1が今年オープンした店だ。

ETUDE HOUSE原宿店(写真:アモーレパシフィック提供)

再燃したK-POPガールズグループブームが追い風になったのか。そう尋ねると、担当者は首を横に振った。

「以前行っていた韓流マーケティングを見直したことが、逆に転機となりました」

かつては人気K-POPボーイズグループSHINeeをイメージモデルとして起用。商品を買った人にはSHINeeグッズをプレゼントするキャンペーンをやったこともある。

「それではグッズがほしくて買っているだけだから、商品を使っていただけない。商品がタレントに負けちゃうんです。今は、商品が主人公。流行りのガールズグループをイメージモデルに起用する気持ちはありません」

現在、マーケティングで力を入れているのがインスタグラムだ。商品の特徴に着目し、日本で写真を撮り下ろす。例えばサテンフィットアイズというアイシャドーであれば、サテンの布の上にお菓子のように商品を並べるなど、インスタ映えを意識。フォロワーは、現在25万人。今年1年弱で約16万人増えた。

「ディアダーリン ウォータージェルティント」(700円・税抜)ETUDE HOUSE JAPAN公式インスタグラムより

「お店の公式インスタグラムで拡散されるだけでなく、一般の子が使ってインスタにアップしているのを見て、『私も買ってみようかな』と広がっていくケースも多いんです」

 

親近感溢れるモデル起用し売り上げアップ

韓流スターではなく、一般人をモデルに起用して成功しているのが、「5キロやせて見えるジーンズ」が世界中で100万本以上売れている韓国発のファッションとコスメの通販サイト「CHUU」だ。

CHUUサイトトップ。プロのカメラマンが撮り下ろした動画や複数の写真と、詳しい文章で商品のイメージをわかりやすく説明するのがCHUUのサイトの特徴だ

ブレイク中のモデルは、やや切れ長の大きな目にふっくらとしたリップが印象的な韓国人、テリちゃん。淡いピンクやレッド、ホワイトをベースとしたカワイイ系「ストロベリーミルク」ラインのモデルとしてホームページに登場したところ、日本の女子の間で大注目に。テリちゃんがモデルになると、ページビューが2倍に跳ね上がるという。CHUU日本支社が発信するインスタグラムにも、テリちゃんの写真がずらり。

「チューとキスするように愛されるブランド」を意味するCHUUは、韓国で2011年に設立。日本支社を東京に置いてまだ半年の新進気鋭の会社だ。このタイミングでの日本進出の理由を、日本支社の担当者はこう明かす。

「日本のお客様の近くに行き、日本に合わせたサービスをしたいと思ったのです」

以来、現在2人で運営する東京支社には、ファッション雑誌からの掲載依頼やコラボ企画のオファーが相次ぎ、大忙し。9月に原宿「BUBBLES原宿」で初のポップアップストアをオープンしたほか、ファッションブランド「Vis」「WC」とコラボ。大手百貨店数社からもコラボ企画のラブコールが届いている。韓国スクールガール風のモデルが表紙を飾った『Popteen』(角川春樹事務所)12月号では、CHUUがコラボしたストロベリーミルクラインの手帳型スマホケースを付録にして、インスタでも話題となった。

日本進出後、わずか半年で売り上げは約40%アップ。

「日本に支社を置いたほうが、編集部やブランドとすぐに会えるので、話が進むのが断然早い。近いうちにショールームのようなショップをオープンさせたいですね」

ホームページも、当初はかわいさを強調していたが、日本向けに20代の購買の需要を見込んでベーシックを強調。日本で人気のテリちゃんを積極的に登用している。

日本支社の担当者によると、

「テリちゃんの魅力は、どんな服にでも雰囲気を合わせられるところ。かわいい服を着ればかわいく、セクシーな服を着ればセクシーに」

実はテリちゃんは、4人いるモデルの中でも一番小柄で、約160センチと一般人サイズだ。

「背が高くなくても洋服が似合う。『テリちゃんに似合うなら、私でも大丈夫』と、普通の子に思わせる力があるところも、人気の秘訣だと思います」

一番人気の専属モデル・テリちゃん。(CHUU JAPAN公式インスタグラムより)

芸能人をモデルに起用しないのは、そもそもギャラの問題や韓国におけるモデルカースト(一流モデルは通販を避ける)といった事情もある。だが、商品を手に取ることが難しいネット通販では「等身大の普通のモデル」は、完璧ボディのスーパーモデル以上に説得力があるのだ。その説得力は、普通の人たちがインスタグラムで発信する等身大の情報が持つ、パワフルな拡散力にも通じるものがある。

どうやら、韓国人になりたい女子が大量発生しているのは、K-POPアイドルに憧れる気持ちや、韓国のコスメ・ファッション会社のマーケティング戦略、そしてインスタ映えブームが複合的に関係しているようだ。