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医療・健康・食

中華料理の回るテーブル「いつ・誰が・なぜ」はじめたか

へぇ~、そうだったんだ
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お財布に優しい工夫

丸く大きなテーブルの上に乗った回転テーブル。卓を囲んだめいめいが欲しい料理を自分の皿に取り分けては、ぐるりと回し、次の人がまた同じ料理を取り分ける―。

ちょっと高級な中華料理店に行くと、必ずと言っていいほど見かける光景だが、この「中華テーブル」、発祥は中国本土ではなく、日本なのだ。

 

このテーブルを1932年に初めて開発したのが、東京・目黒にある「目黒雅叙園」の創業者・細川力蔵という人物だ。目黒雅叙園はいまでこそ、ホテルや結婚式場のある複合施設として知られているが、開業当時は和食と北京料理を扱う料亭だった。

当時の高級料亭は独特の敷居の高さがあった。料理の価格もブラックボックスのうえ、店での振る舞いも相応の作法が求められる。給仕に心づけを手渡すのは当たり前で、これではいくらかかるか分からず、庶民はおいそれと食べに行けない。

給仕を減らせば価格も下げられ心づけの負担もなくなるが、さりとて、大皿料理で皿を移動しにくい中華料理を給仕抜きで取り分けるには、お客さんにいちいち立ち上がってもらわなければいけない。

どうすれば席を離れずに、お客さん自身で取り分けてもらえるか。考えに考えた細川が編み出したのが、この回転テーブルだった。皿が乗っている台自体が回れば、お客さんは座ったままテーブルを回すだけで料理を取り分けられるというわけだ。回転テーブルは、店主の優しさと気遣いから生まれた産物だったのだ。

ちなみに、老朽化した目黒雅叙園は昭和63年に解体工事がおこなわれたが、この際に回転テーブルも修復され、今も現役だ。目黒雅叙園内の中華レストランの奥まった個室に鎮座している。

新緑や紅葉、雪をかぶった冬の姿など、さまざまなツタの葉が色鮮やかに描かれ、一般にイメージする中華テーブルよりもずっと華やかな雰囲気があり、一見に値する。興味があれば、訪れてみてはいかがだろうか。値段はあまり優しくなさそうだが……。(岡)

『週刊現代』2017年12月16日号より

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