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「ビットコインバブルだ!」と大騒ぎする人に言っておきたいこと

ナンセンスな論争はもうやめよう

ビットコインの価格がついに1万ドルを超えた。世の中では「ただの投機だ!」「いや、まだまだ上がる」など侃々諤々の議論となっている。実際のところビットコインにはどの程度の価値があるのだろうか。また、投資対象としてふさわしい存在なのだろうか。マネーシフト6回目は、今話題のビットコインについて取り上げてみたい。

(前回までのマネーシフト連載はこちらから)

通貨の歴史を見てみると…

よく知られているようにビットコインはインターネット上で流通する仮想通貨である。最大の特徴は、既存通貨のように発行元になる国家や中央銀行が存在しないことである。

仮想通貨に関して、いわゆる電子マネーと混同している人も多いのだが、仮想通貨と電子マネーは根本的に異なる存在である。電子マネーはあくまで既存通貨がベースであり、これを電子的に置き換えたものに過ぎないが、仮想通貨であるビットコインはそれ自体が通貨であり、単独で価値を持っている。

国家の信用を背景にしないものは通貨とは呼べないとの見解もよく耳にするが、こうした概念も実は一種の幻想に過ぎない。多くの人がその価値を認めれば政府の信用がなくても通貨が成立することは歴史が証明している。

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日本史の教科書を読むと、明治政府は日清戦争の勝利で得た賠償金を元に金本位制を開始したと書いてある。だが、厳密に言うとこの記述は正しくない。

当初、賠償金は銀で支払われる予定だったが、清は銀での支払いができず、当時の覇権国である英国に対して外債を発行。英国の投資家から英ポンドを借り入れ、それを日本に支払っている。つまり日本が受け取ったのは銀ではなくポンド紙幣だった。

ポンドは英国が保有する金を裏付けとして発行されたものだが、金そのものではない。だが、当時のポンドは現在の米ドルと同様、グローバルに見てもっとも信用度の高い基軸通貨だった。日本政府はこれを金とみなし、ポンド紙幣を担保に日本円を発行したのである。

しかもそのポンド紙幣は日本国内には送金されず、何とロンドンの銀行に預金されたままだった。現代に当てはめれば、日本政府はたくさんドル紙幣を持っていて、それを米国の銀行に預けているので、このドル預金を担保に日本円を発行したことと同じになる。

この事実は、その通貨に裏付けがあると多くの人が認識すれば、政府の信用がなくても通貨は流通することを示している。日本の通貨制度は、自国政府に対する信用ではなく、英国の銀行預金に対する信用でスタートしたわけだが、日本の通貨制度は何の問題もなく立ち上がった。

かなり強引な手法ではあったが、明治政府の指導者たちはグローバルな金融システムの本質をよく理解しており、現実的かつ合理的な判断を下した。こうしたリアリズムや柔軟性について、今の日本人は大いに学ぶべきだろう。

 

ビットコインを支える「信用」

話を戻すと、ビットコインが「まともな」通貨だと仮定して、一体、何に対する信用に支えられているのだろうか。ビットコインは、電子的に管理されるという点では目新しいが、通貨としての基本的な概念は金本位制に近い。コインの発行総量について構造的な上限が決められており、一定量以上の発行が不可能な仕組みになっている。

しかも、新しくコインを生み出すには、ビットコインの取引を管理するシステムに対してコンピュータの計算という「労働力」を提供しなければならず、この作業によって新しい価値が生み出される。

希少性をベースにした金本位制の考え方に、経済学でいうところの投下労働価値説をうまくミックスさせた仕組みであり、通貨としてなかなか良くデザインされている。