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中朝開戦に現実味!習近平が「対北侵攻作戦」を実施する日

その時は刻一刻と迫っている
近藤 大介 プロフィール

「中国外交は、かくして挫折した」

〈 北朝鮮には、唯一の戦略的な大量破壊兵器――核兵器がある。それは、金正恩の手中にある。金正恩は、核をもって核を制す、すなわちそれによってアメリカと均衡し、中国を威嚇することが可能だ。そのため、北朝鮮の核問題を解決することは、とどのつまり金正恩の問題を解決することなのだ。

アメリカは、北朝鮮の核問題を解決する戦略的な大量破壊兵器――北朝鮮の核を徹底的に破壊する実力や、金正恩斬首作戦の決行を含む実力――を持っている。

中国もまた、北朝鮮の核問題を解決する戦略的な大量破壊兵器に類するもの――対北朝鮮の石油供給路を徹底的に切断する能力、北朝鮮の経済を徹底的に崩壊させる能力――を持っている。ただ中国はいまのところ、この大量破壊兵器を最終的に使用するに至っていないだけのことだ。

それは、使用することが諸刃の剣に、すなわち北朝鮮を傷つけると同時に、自らをも傷つけることになるからだ。中国の対北朝鮮政策というのは、力を弄ぶと自分をも傷つけてしまう諸刃の剣になってしまうため、当初から後悔できないものなのだ。

中国はまた、北朝鮮の核問題を解決する本質は、金正恩の問題を解決すること、併せてそれに類する問題を解決することにあると、早くから認識していた。

超強硬な威嚇政治を続ける金正恩は、親中派の張成沢を惨殺し、金正男を国際的な衆人監視のロビーで毒殺した。さらに最近はまた、軍総政治局長の黄炳誓と第一副局長の金元弘をも粛清した。それはおそらく、かなり高い確率で、彼らがささやかな親中派的な素振りを見せたため、つまり中国との関係を緩和すべきだと主張したため、金正恩が激怒し、両幹部がクーデターを起こすとの疑念を抱いたことが原因と思われる。

黄炳誓は北朝鮮でナンバー3のリーダーであり、金元弘は北朝鮮の諜報部門と安全部門を掌握していた最高責任者だ。両幹部ともこれまで、金王朝を強固なものにするため奮闘努力してきた、いわば金正恩の両腕である。そうした彼らを粛清してしまったことは、北朝鮮国内を震撼させたばかりか、その余波はおそらく中国の北朝鮮政策にも影響を及ぼすだろう。

 

中国はこれまで、金正恩の謀略の問題を解決しようとして、何度も失敗してきた。そのことで金正恩は、中国に対して高度の警戒心を抱いているだけでなく、自己のブレーンたちを結集して、様々な危機を乗り切ってきた。

言うまでもなく、中朝間の橋梁はすでに切れ、両国の敵視関係は根深いものがある。それは中国においては、金正恩を排除しなければ北朝鮮の核危機は解決できないというレベルにまで至っている。

周知のように、中国は北朝鮮に対して、真綿で首を締めるように一歩一歩制裁を強化してきており、最後には早晩、北朝鮮と一戦まみえる状況になるだろう。朝鮮半島を非核化しようという中国の決意は、揺るぎないものがある。あとは、それを解決しようという意志を待つのみなのだ。

最近、中国とアメリカは連続して、北朝鮮に対して大きな動きを見せた。それによって北朝鮮は、すでに隅っこの角まで追い詰められている。

先日、中国の高位の特使が北朝鮮を訪問し、中国の立場について言い渡した。その際、中国の特使は北朝鮮側に冷遇された。北朝鮮側は、核問題に関するいかなる議論を話題にすることも拒絶したばかりか、ナンバー2の崔竜海国務委員会副委員長が象徴的に接見しただけだった。しかも北朝鮮側の接見随行者は極めて少なく、中国側の代表団の規模とは不釣り合いだった。

加えて中国側が堪えかねたのは、金正恩が自動車工場を視察するという口実を設けて、中国の特使との接見を拒否したことだった。中国の特使は4日間、時間を空費したあげく、甲斐なく帰国の途についた。そして中国の特使が北朝鮮を離れた11月20日、金正恩は黄炳誓と金元弘を粛清したのだ。

中国外交は、かくして挫折した。そのため11月22日、中国国際航空は、北京-平壌便の無期限停止を発表した。表向きの理由は「経営不採算」だ。続いて11月24日、中国は鴨緑江にかかる友誼大橋を閉鎖した。中国外交部はこう述べた。

「補修が必要なので10日間、臨時で閉鎖した」

だが、こうも述べている。

「北朝鮮側が橋板の補修が必要だと言っているため、一時的に閉鎖したものだ」

こうした物言いが外部に与える共通認識は、北朝鮮側の責任によって大橋を閉鎖したというものだろう。

〔PHOTO〕wikipediaより

鴨緑江に架かるこの鉄橋は、中国の国境沿いの都市・丹東と、北朝鮮側の新義州を結ぶ要衝である。中朝貿易の7割は、この橋を経由している。鴨緑江大橋を閉鎖したということは、石油を除く中朝貿易を徹底的に遮断したことを意味する。これは北朝鮮の対外貿易の生命線を断ったということなのだ。

中国は、こうして北朝鮮との空路と陸路を同時に遮断したが、それによって中朝関係は、さらに一段と悪化した。それはまた、北朝鮮が中国の外交努力を無視していること、そして中国が手を出す時が迫っていることを、全世界に示すことにもなった。

11月20日、中国の外交努力が失敗したことを受けて、アメリカは直ちに北朝鮮に対して大きな一手を打った。即日、トランプ政権は北朝鮮をテロ支援国家に再指定したのだ。リスト上には、すでにイラン、シリア、スーダンがあり、北朝鮮は2度目のブラックリスト入りとなった。

11月21日、アメリカ政府は、13社の北朝鮮と中国の企業に対して経済制裁を科すと緊急発表した。経済制裁を受けた会社には、中国、ロシア、カンボジア、ポーランドに北朝鮮労働者を輸出する会社が含まれている。また6社の船舶会社、及び20隻の船舶も含まれる。中国の企業3社は、北朝鮮と7.5億ドルの貿易を行っており、中でも東源実業株式会社は、北朝鮮に2800万ドルの貨物を輸出してきたが、その中には原子炉関連機器材が含まれている。

以上のような事柄から分かるのは、中国とアメリカは共に、北朝鮮の核問題を解決するため、圧力をかけているということだ。そして中国の北朝鮮に対する圧力の感覚は、ますます緊迫してきている。