国際・外交 中国 アメリカ 北朝鮮

中朝開戦に現実味!習近平が「対北侵攻作戦」を実施する日

その時は刻一刻と迫っている
近藤 大介 プロフィール

一方、藍軍部隊の季衛星副参謀長は語ります。

「今回のように実戦形式の戦闘訓練にすることで、互いの短所を、より多く発見できる」

紅軍部隊の盧暁光副旅団長も語ります。

「われわれにはいまだ、個々の部隊同士の協業が万全でないという問題を抱えている。自らの作戦を、完全にコントロールすることができないでいるのだ。そのため、一つの問題を取り上げてはそれを解決していくという方針で、訓練を行っている」〉

今回の「厳寒2017」は、昨冬に引き続いて2回目である。やはり朝鮮半島情勢が緊迫した昨年のこの時期に、零下20度近い極寒の内モンゴル自治区で、初めて実施したのだ。

中国の報道によれば、昨冬は100を超える問題が見つかった。そこで今回の訓練では、氷雪の中でどうやって迅速に戦車を進軍させるかといった27の重点項目をピックアップし、バージョンアップさせているのだという。

演習の映像を見る限り、これはどう見ても、有事に鴨緑江を渡って朝鮮半島に突入していくための訓練である。もし今日突然、朝鮮半島有事になったら、この訓練はそのまま実戦となるに違いない。

実際、演習を行っているのは、北部戦区の精鋭部隊として、今年4月に新たに編成された第78集団軍である。本拠地は黒竜江省ハルビンに置いているが、朝鮮半島有事の際には、真っ先に鴨緑江を渡ると見られる部隊だ。

このように中国は着々と、朝鮮半島有事に備え始めている。これは長年「血盟関係」「血を分けた誼(よしみ)」などと言われてきた中朝の同盟関係を、習近平政権が近未来に、完全に叩き切る意思があることを意味している。

〔PHOTO〕中国国防部HPより

中米が同時に大ナタを振るう

11月のこのコラムで記したように、11月9日に北京で行われた米中首脳会談で、習近平主席はトランプ大統領と、ビッグディールを交わした。それは、2535億ドル(28兆円超)という巨額の契約を交わし、アメリカの対中貿易赤字の大半を解消してあげる代わりに、当分の間、北朝鮮問題を中国に任せてほしいということだった(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/53488)。

いま思えば、習近平主席は自らの外交に、絶対の自信を持っていたのだろう。5月に一帯一路国際サミットフォーラムを開いて「ユーラシアの盟主」を誇示し、10月に中国共産党大会を開いて国内基盤を盤石のものとした。そして11月にトランプ大統領を招いて、自らの持論である太平洋二分割論を説いた。

 

ある中国外交の関係者は、11月中旬の段階で、私に次のように述べた。

「金正恩は、第19回中国共産党大会の開幕時と閉幕時に、2度にわたって習近平総書記宛てに祝電を送ってきた。これをわが国は、『北朝鮮が中国に投降した』とみなした。そこで北朝鮮問題に、本格的に手を突っ込むことにした」

つまり、困窮極まった金正恩政権は、今度こそ中国に靡いてくると判断したわけである。

そこで習近平主席は、ベトナムAPECと公式訪問、ラオスの公式訪問から帰国した直後の11月17日、かつての福建省時代の部下で気心の知れた宋濤・党中央対外連絡部長(共産党の外相に相当)に親書を託し、平壌に派遣した。宋部長は顔といい物腰といい、まさに「ミニ習近平」といった風情である。

トランプ大統領は習近平主席に、「北朝鮮で人質となっている3人のアメリカ人の救出に、第一優先で取り組んでほしい」と依頼していた。そのため、宋濤部長は「3人の解放によってトランプ政権との信頼関係を築き、交渉を行ってはどうか」と、金正恩委員長に直接、進言しようとしたはずだ。

だが平壌で待ち受けていたのは、金正恩委員長でもなければ、金永南最高人民会議常任委員長でもなかった。崔竜海と李洙墉という二人の朝鮮労働党副委員長だった。おそらく、二人して対応すれば、後に粛清されることもないだろうということで、揃い踏みとなったのだろう。テレビニュースの映像からも、そんな二人の首脳の緊張した様子が伝わってきた。

その後に起こったことは、中国の著名論客が、11月28日にネット上で暴露した。私が今年、中国のネット論客の中で最も注目した一人である周方舟が、「中国とアメリカが同時に大ナタを振るう:実質的な北朝鮮の核問題はすなわち金正恩の問題を解決することである」と題した論評を、「中米学者シンクタンク」というネット論壇に発表したのである。

非常に興味深い内容なので、以下、全文を訳出する。