〔PHOTO〕テレビ東京ホームページより
エンタメ

深夜ドラマ『セトウツミ』に私がドップリはまった理由

何も起こらないという衝撃

目が離せない地味なドラマ

10月からの秋ドラマは、話題作が揃っていた。

篠原涼子の政治家ドラマ『民衆の敵』、井上真央のシリアスな学園ミステリー『明日の約束』、宮藤官九郎脚本で小泉今日子以下錚々たる女優が勢ぞろいの『監獄のお姫様』、綾瀬はるかの主婦アクション『奥様は、取り扱い注意』、浅野忠信と神木隆之介の刑事ドラマ『刑事ゆがみ』、人気作品の第二シリーズ『コウノドリ2』、櫻井翔の学園ドラマ『先に生まれただけの僕』、TBSお得意の逆転企業ドラマ『陸王』などなど。

で、結局、圧倒的人気第1位は『ドクターX』である。唯一視聴率が20%を超えている。2012年から秋になると毎年のように放映されて、今年で5シーズンめ。昭和のころの定番時代劇のようになっている。

失敗しないスーパー外科医(米倉涼子)の物語である。水戸黄門が実は誰とも戦っていないのと同じで(権威によって騒乱を平定するばかり)、彼女もまたトラブルを処理するプロであり、敵と戦っているわけではない。そういう物語が、落ち着くのである。

今回も、繰り返し、落ち着かさせてもらってます。先の読めない展開でどきどきすることはないが、こういう展開になるのだろうと予想しながら、少しだけどきどきして、見ている。

二番目の人気は『陸王』で、これは企業の戦いにおいて、弱いものが勝っていく物語。

どうなるか予想がつかないドラマと、予想はついているがそれでもどきどき(ときにいらいら)するドラマのどちらがいいのかは、判断しにくい。人それぞれの好みによるし、役者にもよる。

そんななか、このクールで、私が楽しみに見ているのは地味なドラマだ。

金曜深夜の(厳密には土曜午前1時ごろの)テレビ東京のドラマ『セトウツミ』である。

 

大きなことは何も起こらない

何も起こらないドラマである。

現状になにか問題があるわけではなく(生徒が自殺したり、足袋会社の経営が傾いたりはしていない)、また、なにかをめざして突き進んでいるわけでもない(高校の偏差値をあげようとしているわけではないし、爆笑ヨーグルト姫の冤罪を晴らそうとしているわけでもない)。

高校生たちが、何となく暇をつぶしている。その姿を眺めているだけだ。

1回30分で、しかも複数の独立したエピソードで構成されている(アニメの『サザエさん』の構成に近い)。

大きなことは何も起こらないから、この先、どうなるかもわからない。展開の予想などできない。日常生活をふつうに送ってるとき、この先、何が起こるか予想もつかないのと同じである。

だから、ぼんやり見てるだけであり、まったくどきどきもせず、いらいらもせず、ほんわりしてくるだけだ。

でも、毎週、この世界に触れられるのが楽しい。

金曜深夜の、だらっとした高校生のやりとりをぼんやり見てるだけで何やらとても楽しく、気づくともっとも楽しみにしているドラマになっていた。

しかも、何度か見返してしまっている。

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