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「生活力ゼロだが稼ぎのある女」と結婚し扶養に入った"主夫芸人"

新しい「理想の夫婦」の形
中村 シュフ プロフィール

全てが妻を中心に回ってる

そんな妻の印象深いエピソードを紹介してもらった。

「ちょっとね、不思議な人なんです。まず、家族写真がほとんどない。子どもがふざけて撮ろうとしてもダメ。ガチ怒りです」

とはいえ、写真嫌いの人というのは一定数いるもの。ただ、シュフさんの妻はその理由が普通ではない。

「普通、切手って舐めて貼りますよね? 妻は必ずノリを使うんですよ。『唾液からDNAを採取されたらマズい』って理由らしいんですけど……とにかく個人情報の管理に敏感で。僕、スパイだと思ってます、いつか消えちゃうんじゃないかって」

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取材でシュフさんが妻のことを語るのはいいが、実際に登場するのは絶対にNG。そして、スパイには、趣味もない。友人もいない。

「唯一情報を開示する仲間が妹なんです。その他の人脈はほとんど見たことがないですね。もともと妹は実家にいたんですが僕たちの結婚に合わせて近所に引っ越させたんです。さらに、僕の友達の、すごく子ども好きなやつとくっつけようとしてるんです。『義理の弟になるのはあの人がいい』って」

全てが自分を中心に回っているという「主人公感」。それがシュフさんの妻に関する1つのキーワード。妹さんの人生も自分軸でプロデュースしようとしているのだという。むちゃくちゃな願望ながら、着々と実現に向けてお膳立てを進めている。

 

「むちゃくちゃなんですけど、そうやって引っ張ってくれてるので助かっているんです。たぶん彼女がいなければ、僕はまだ結婚していなかっただろうし。リーダーとして物事を“推し進める”力は僕にはないので、見切り発車含めて、彼女がいてくれるからこそ新しい世界を見れるという感じ」

妻の無茶振りを楽しめないとやっていけないと言いつつ、もともとそういうことを面白がれる気質を持っていたシュフさん。一般的な「理想の夫婦」像とはかけ離れてはいるが、お互いの足りないところを補い合い、新しい地平を切り開いていくという意味で、「理想の夫婦」の一つの姿なのかもしれない。

〈取材・文/富澤比奈〉

中村シュフ(なかむら・しゅふ)主夫芸人・家政アドバイザー。1979年生まれ。大学で家政学を学び、家庭科教員免許を取得。現在は主夫業をメインに、主夫芸人、家政アドバイザーとして活動中。著書に『主夫になってはじめてわかった主婦のこと』(猿江商會刊)。公式ブログ 「日刊 主夫の友
世の中には「100%シュフの人」もいなければ、逆に、「100%シュフじゃない人」もいないんです。イクメン家事メンが当たり前の時代を生きる全夫婦必読。