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「生活力ゼロだが稼ぎのある女」と結婚し扶養に入った"主夫芸人"

新しい「理想の夫婦」の形
中村 シュフ プロフィール

生活力のなさに定評のある妻

そこで気になるのが、シュフさんに大きな決断をさせた妻の人物像だ。争いを好まないシュフさんには、もともと「一緒にいてラクな人」を選んで付き合いながらも、どれも長続きしなかったという過去がある。そんな経験を経て、「次に付き合うときは自分と(性格が)真逆の人を」と決めた。そんな時に出会ったのが現在の妻なのだという。

「『この人合わないな』って思ったときに、それをマイナス要因にしない、楽しんでいく、と決めてから出会ったんですけど、だいぶ強敵でしたね(笑)。僕は正反対であるという部分に魅力を感じていますけど。彼女にとっては、『生きる力がある』ということと『ユーモアがある』というのが決定打になったみたいです」

 

何か問題が起きても、どう面白く乗り越えるか、そのアプローチを考えることができる「生きる力」を持つシュフさん。そして、シュフさんが壁にぶつかったときに「これ、横から見たらベニヤ(板)じゃん。壁じゃなくて薄いぜ」と、あっさり新しい視点を提示してくれる妻。夫婦で問題に当たらなければならなくなったときも、この二人だからこそ突破力が発揮できるのだという。

「趣味が同じだったり性格が似ていたりすればもっと穏やかなんでしょうけど、(合わないから)けんかしかしないです。でも、芸人でいう”コンビ”として考えると、凸凹コンビの方が面白いじゃないですか」

几帳面で平和を愛するシュフさんに対し、破天荒でマイペース、家事能力ゼロの妻。そんな妻を母親も心配していたのだろうか、妻が就職して一人暮らしを始める際も、「中村さんが近くにいてくれるなら、防犯の面でも家事の面でも安心ね」と中村さん頼みだったという。

「僕がいるならご飯を食べずに仕事に行くとか、遅刻・寝坊もなさそうって。お義母さん自身も娘の独創的なスタイルに心配を持っていたみたいで」。

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一人暮らしを始めてからは、家事はずっとシュフさん任せ。子どもが生まれる前は「私が優しさを担当するから、あなたが怒る担当をして」といっておきながら、生まれてすぐに「(優しさ担当は)無理だわ」と投げ出した。

「子どもたちの前では本当に”昭和のガンコ親父”みたいなんですけど、ツンデレなところもあって(笑)。『私じゃ(主婦は)無理だわー』ってしみじみ」

妻も”シュフ”としてのシュフさんの働きには感謝しているそうで、二人きりの時はちゃんとねぎらいの言葉をかけてくれるのだそう。シュフさんはそんな妻との未来に思いをはせる。

「彼女としては『今まで10割私にエネルギー割いてくれていたのに、なぜ2割なの』といういらだちがあるんですよね。子どもは世話しないと死んじゃうから、今は7~8割は子どもなんですけど、相変わらず10割を求めてくる。娘には早く結婚してほしいです。早く(面倒を見る相手が)妻だけになってほしい」

シュフさんの妻に対する深い愛情が覗く一言だった。