アメリカ 外交

対北で「米国と完全に一致」と胸を張る安倍首相にこれだけは聞きたい

あのこと、忘れていませんよね?
笠原 敏彦 プロフィール

その一方で、個々の問題は深刻化していく。

「ブリテン・ファースト」のケースで言うなら、推定メンバー1000人ほどの無名に近い極右団体が一夜にして国際的なパブリシティを得て、支持者を増やし、その活動に勢いを与えかねないということである。

白人至上主義へのシンパシーを指摘されるトランプ氏。

発信の真意は不明でも、また一つ、社会、世界を分断する種をまいたという事実は動かし難い。

アメリカ大統領が持つ「アジェンダ(課題)」設定のパワーは、事態誘導、人々の「現状」認識に多大な影響を及ぼすのである。

トランプ氏のツイッター発信、わずか140文字の発信に揺さぶられる世界の在り様は、その怖さを物語っているように思えてならない。

北朝鮮の思惑

いずれにせよ、就任10ヵ月を経て一段と明確になったことは、トランプ氏には「事実」への関心が決定的に欠如しているということであり、各国はその大統領と外交・安全保障面でも「ディール」をしていかなければならないということである。

そこで疑問に思うことがある。

トランプ大統領は北朝鮮の核ミサイル問題をどう認識し、本音で何を考えているのかということである。

 

北朝鮮は11月29日に大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星15」の発射実験を行った。最長飛行距離は1万3000キロと推定され、米全土を射程に置いたとも報じられている。

外国メディアの軍事衝突の可能性などをめぐる推測合戦を尻目に、北朝鮮が着実に核弾頭搭載ICBMの完成に向けスケジュール闘争をこなしていることことだけは間違いない。

北朝鮮の思惑については、CNNのウィル・リプリイ記者が北朝鮮当局者とのインタビューを基に報じている内容が説得力を持つように思う。

そのポイントは次の通りだ。

北朝鮮は核抑止能力を実証するまでアメリカとの交渉のテーブルにはつかない。

その目標達成には二つのステップが必要である。

第一のステップは米本土に届くICBMの実験成功である。

第二のステップは地上での核実験もしくは大規模な水爆実験の成功である。

それまでは、国民に「草を食ませ」てでも核ミサイルの開発は続けるのだろう。

そして、核抑止能力を実証した上で、自らの核ミサイル開発凍結をダシに、アメリカとの「核軍縮交渉」に持ち込むというのが北朝鮮の算段ではないだろうか。

安倍首相に聞きたいこと

一方で、安倍晋三首相は、北朝鮮に最大限の圧力をかけ続けることでトランプ氏と完全に一致していると繰り返している。それは、日米の団結を示す北朝鮮向けメッセージなのだろう。

しかし、トランプ氏は「ディール」を生き甲斐とし、それに勝つことで自らの巨大なエゴの渇きを満たしてきた大統領だ。

トランプ氏が北朝鮮核問題で語る、「核保有という目標の達成を許さない」「核計画を廃棄する場合に限り、話す用意がある」などの言葉を信頼してよい根拠とは何なのか。

安倍首相に聞いてみたくなるのである。

ちなみに、トランプ氏が先の極右団体の動画をリツィートしたのは、北朝鮮が火星15の発射実験に成功して一夜明けたばかりで、日本では「北朝鮮のアメリカへの脅威が高まった」と大騒ぎしている最中であったことを指摘しておきたい。