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獣医学部はゴリ押しでも「電波改革は先送り」がまかり通る不可解

やっぱり「首相のお友達」が必要なのか
町田 徹 プロフィール

電波収入を懐に入れたい総務省

さらに重要なのは、周波数オークションが国庫の貴重な財源になり得ることだ。

NTTドコモは、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催に合わせ、世界に先駆けて首都圏の一部で5Gのサービス開始を目指している。この周波数割り当てについてオークションを導入すれば、5G全体で数兆円単位の収入が国庫に入るとみられる。

もちろんこれは、携帯電話1台につき年200円程度の「電波利用料」を今後も存続させる場合の話だ。

1995年、現役記者として旧郵政省の取材を担当していた筆者は、周波数オークション制度の導入を郵政省方針として実施するというニュースをつかみ、予定稿まで書いたことがある。ところが、財政難の折に導入しても、その収入は一般財源に組み込まれてしまい、郵政省の特定財源にならないという理由でストップがかかり、その原稿をボツにした苦い経験がある。

今回、総務省が周波数オークション導入を完全に抹殺せず、継続検討として含みを持たせているのも、確実に特定財源として総務省の予算になる時期の到来を待っていると考えるのは穿った見方だろうか。

 

スマホ料金の引き下げにはつながらない

2015年9月に安倍総理自身が発言したことでも明らかなように、そもそも安倍政権がこだわっていたのは、家計の支払う携帯電話料金の引き下げだ。だが、今回示した周波数オークション導入へのこだわりが、念願の料金引き下げにつながると期待しているとすれば、その根拠は薄弱だ。

前述のように、周波数オークション導入が積極果敢な事業者の参入につながるのであれば、サービスの多様化や料金の低廉化が起こる可能性はあるが、実際のところ、その確率はそれほど高くない。

スマホを楽しむ若者たちスマホ料金の引き下げは簡単ではなさそうだ photo by gettyimages

むしろ、サービスの多様化や料金引き下げが目的ならば、NTTドコモ、au、ソフトバンクモバイルの3社体制ですっかり「協調的寡占」が定着してしまった携帯電話市場そのものに風穴を開けるほうがよっぽど効果的だ。

最も効果的なのは、既存事業者には5G向けの周波数を与えず、新規参入者にだけ周波数を付与することだろう。既存事業者の成長性にも配慮するなら、相互接続制度などを充実したうえで、既存事業者プラス数社に周波数を付与して、競争を活性化することも考えられる。

5Gは、4G設備に各種機器を付加してサービスが可能とされ、既存事業者はそれほどコストをかけずに事業化ができるとみられる。それだけに、新規参入事業者を呼び込むことは容易ではない。

しかし世界に目を向ければ、アマゾンが米国で自社製携帯電話を販売したり、フェイスブックが南米やアフリカで格安スマホ事業(MVNO事業)に参入したりといった事例がある。米国勢にかぎらず、国内でMVNO事業を手がけてきた楽天が5G事業への参入に興味を示しているという噂もある。

そうした企業による新規参入に伴う市場競争の促進こそ、周波数オークションの導入よりもはるかに、サービスの多様化や料金の低廉化に役立つことは間違いない。安倍総理が周波数オークションにこだわる気持ちもわからなくはないが、ここは新規参入の促進に焦点を当て、知恵をしぼるべきときではないだろうか。