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獣医学部はゴリ押しでも「電波改革は先送り」がまかり通る不可解

やっぱり「首相のお友達」が必要なのか

安倍晋三総理自ら「(電波の)割り当て制度の改革は待ったなし」と檄を飛ばしたにもかかわらず、アベノミクス・第3の矢(規制改革)の切り込み部隊とされる「政府の規制改革推進会議」(議長・大田弘子政策研究大学院大学)による、「電波利権」の追及は不発に終わったようだ。

規制改革会議が11月29日に提出した答申では、諸外国で幅広く普及している携帯電話の周波数オークション制度の導入について、「メリット・デメリット、導入した各国における様々な課題も踏まえ、 引き続き検討を継続する」と記しただけで、総務省が20年以上にわたってくり返してきた「先送り」をまたしても容認した(と受け取れる)内容にとどまった。

今月8日の閣議決定に向けて、巻き返しを期待するのは難しい状況という。

総務省はいったいなぜ、周波数オークションの導入を頑なに拒み続けるのか。その背後にはどんな利権が横たわっているのか。この問題を整理したうえで、日本のスマホ料金の引き下げやIoT(モノのインターネット)、クルマの自動運転化などのために必要な政策を検証しておこう。

 

民放各社への「牽制」との見方も

2012年12月の第2次安倍政権の誕生からほぼ5年。新聞やテレビの記者たちの関心がすっかり薄れてしまった「アベノミクス・第3の矢」を扱う規制改革推進会議が揺れたのは、9月11日の会合だった。

欠席がちな安倍総理が会議の途中からながら出席し、2か月半後に迫っていた第2次答申のとりまとめに向けて、「成長軌道を将来に向かって確固たるものとするため、アベノミクスはこれからも挑戦を続けていく。チャレンジを阻む岩盤のように固い規制や制度に真正面から挑戦し、スピード感を持って改革を進めていく。安倍内閣の決意は揺るぎないものだ」と発言。「保育制度の見直し」と「電波の割り当て制度の改革」を「短期集中で早急に結果を出すべき重要事項」とした。

安倍総理と街頭のテレビ放送安倍総理の「肝煎り」のはずだったが…… photo by gettyimages

電波の割り当て制度は、第2次答申の審議がスタートした7月の会合までは、議論の俎上にほとんど載っていなかったテーマである。それだけに、安倍総理の発言が何を意図したものなのか、総務省の電波官僚は不意を突かれて疑心暗鬼に陥った。その後、規制改革推進会議の翌々日にあたる9月13日の記者会見で、菅義偉官房長官が総理の真意を解説した。

菅長官は、大手通信事業者が「電波利用料」を年額にして100億円から200億円も負担しているのに対し、大手民放は数億円程度にとどまり、大きな格差が生じている問題を指摘。さらに、周波数の一定期間の利用権を競争入札で決める「周波数オークション制度」が先進国で普及していることにも言及し、新たなルール作りが規制改革推進会議の焦点になるとの見解を示したのである。

新聞やテレビはほとんど黙殺したが、その波紋は着実に広がっていった。海外で周波数オークションと言えば、携帯電話用の電波に適用するものだ。放送のような、その国の文化と不可分な用途には適さないとされ、実施している国はほとんどない。

それだけに、なぜ突然このテーマが浮上したかがわからず、関係者のあいだでは「民放各社の報道・情報番組が、森友・加計問題を派手に報道していることへの政治的牽制が働いたのではないか」といった噂までまことしやかに囁かれる始末だった。

それからほぼ2か月後の11月17日、事態を重く見た日本民間放送連盟会長の井上弘・TBSテレビ名誉会長は記者会見で、「放送事業者は公共性の高い役割を果たしており、入札金額の多寡で決めるオークションはなじまない」と真っ向から放送分野への周波数オークション導入に反対する考えを表明した。