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「マイナンバー」導入から2年、暮らしが全然便利にならないワケ

そもそもカードに意味はあるのか

カード発行10%の「情けない理由」

2015年4月にマイナンバーカード(個人番号カード)の発行が始まって、かれこれ2年が経つ。

総務省によると、今年8月末日現在の交付枚数は1230万枚、全対象者に占める普及割合は9.6%にとどまっている。これによって「マイナンバー制度は失敗したも同然」という評価が定まりつつあるが、実態はどうだろうか。

これまでの経緯をオサライしておこう。

カードの発行が始まったのは昨年の1月。前年の10月から全対象者に郵送で個人番号が通知されたのを受けて、顔写真が付いたICチップ内蔵カードを発行する。併せて給与・報酬の受給者は発給元にマイナンバーを届け出ることになった。制度運用の本番といっていい。

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ところが、その途端にシステムに不具合が発生した。

申請者が決めた3種類の暗証番号をICカードとセンターサーバーに登録・同期させなければならないのだが、市町村の端末からシステムにつながらない、つながっても途中で切れる、データの更新ができない…といったトラブルが、3ヶ月に約80回(つまりほぼ毎日)も発生した。システムそのものが80回も停止してしまうのだから、カード発行の作業が進むわけがない。

原因は大きく2点で、そのうち大きなウェイトを占めたのはカード管理システムの中継サーバーのメモリー割り当て不足だった。

ちょっと専門的な話だが、全国1700市町村から寄せられるデータ更新の要請は、中継サーバーでいったん「保留」する。メモリー容量が足りないとオーバーフローになって、システムは異常が発生したと判断して停止してしまう。

もう1点は、カード内蔵ICチップとカード管理システムのデータ不整合。IDとパスワードが一致しないとログインできないこととよく似ている。管理サーバーはICチップを「不審者」と判断して、アクセスを拒否するのだ。

 

「輸出構想」も事実上、頓挫

マイナンバーシステムの運用を統括している地方公共団体情報システム機構(総務省の外郭団体、略称=J-LIS)が「問題は解決した」と発表したのは、運用開始から3ヵ月後の昨年4月27日のことだった。

トラブル発生から解決までこれほど時間を要したのは、システム構築の実務を担当した国内大手ITベンダー5社(NEC、NTTデータ、NTTコミュニケーションズ、日立、富士通)が情報を共有しないまま、「自分たちの問題ではない」を前提に原因を探ろうとしたためらしい。「船頭多くして……」という、日本のシステム開発の弱点を露呈した格好だ。

これを受けて総務省は、2017年3月末までのカード交付目標として掲げていた1000万枚を、約4分の1の260万枚に下方修正した。