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欧米で大論争!「クリスマス」をめぐって深刻な分断が起きている

政権中枢に入り込んだ魔女の物語
岡本 亮輔 プロフィール

ホワイトハウスの異教デコレーション

しかし、そのトランプ大統領が執務を行うホワイトハウスをめぐって、意外な事態が生じている。

問題になっているのはホワイトハウスのクリスマス用のデコレーションだ。オバマ前大統領の時もデコレーションは行われ、その時はミシェル夫人がデザインを考えた。

そして今回は、メラニア夫人の案で飾られたのであるが、これが思わぬ波紋を呼んでいるのだ。

デコレーションの様子は下記のような動画で公開されている。

美しさを称賛するコメントも無数にある。

しかし、このうち廊下の部分を全体的に暗めに撮影した写真がツイッターで出回り、メラニア夫人が「異教(ペイガン、pagan)」を信じているという情報が拡散されているのだ。

上のように、同じ場所のオバマ時代の写真と比較して、異教の儀式を行うメラニア夫人から本物の休暇を取り戻せといったツイートも存在する。

さらに問題なのは、こうしたツイートに対して、メラニア夫人が下記のようなツイートをしたという画像が出回っていることだ。

メラニア夫人は「クリスマスは異教の祭りが起源であり、単にオリジナルに戻ろうとしているに過ぎず、一部の人々は古い神々の崇拝の仕方を忘れてはいない」とツイートしたことになっている。

しかし、この画像はフェイクである。なぜ、このようなフェイク・ツイートが出回っているのだろうか。

 

学問的に見た場合、フェイク・ツイートにあるように、クリスマスは異教の祝祭がキリスト教に取り込まれたものであると考えて良いだろう。

そもそも聖書にはイエスの誕生日に関する記載はない。キリスト教以前の宗教において、冬の終わりを告げる冬至が祝われたのが、救世主の降誕に読み替えられたものと思われる。古い宗教の神や祭が後続の宗教に引き継がれることは珍しくない。

キリスト教において最も重要な復活祭が3月下旬から4月上旬に祝われるのは春の到来を祝った習慣の名残りだろうし、教会が東側に祭壇を置くように造られるのは太陽崇拝の痕跡を思わせる。

しかし、キリスト教の信仰世界では、自然崇拝は原始的な宗教観として忌避される傾向が強い。

したがって、ペイガンという言葉も、単にキリスト教との差異を意味するだけでなく、キリスト教と対立する野蛮な信仰という攻撃的なニュアンスで用いられることが多い。

要するに、ペイガンは、「非」キリスト教というだけでなく、「反」キリスト教を含意する表現なのである。