退職まで神頼みとはいかないようで… photo by gettyimages
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「退職に無防備な人」がハマる、早期退職優遇制度という落とし穴

東電、東芝…次はあなたの会社かも

東京電力や東芝など、不祥事をきっかけとする名門企業からの人材流出があとを絶たない。最近の日産自動車や神戸製鋼の問題も、深刻化すれば二の舞いになるかもしれない。それでなくても、人工知能の急速な発展により、事務職などを大量に抱える企業ほど雇用は不安定になってきている。指を加えて見ているだけでは、この激流の底に引きずり込まれてしまうだけだ。

人工知能に左右されない技術や思考力を身につける努力はもちろん大事だが、先行き不透明なこの時代、それより先にやっておくことがある。

それは、やめるべきとき、やめなくてはいけないときの備えを万全にしておくことだ。日本経済新聞の連載「私の課長時代」のごとく、何もかも努力や人脈で乗り越えられるとは限らない。あれは成功者だから語れるレアケースなのである。

企業の人事担当として、組織人事コンサルタントとして、さまざまな退職の場面に接してきた秋山輝之氏は「日本のビジネスパーソンは、退職についてあまりにも無防備」と指摘する。

人ごとではない「突然の退職」

この数年、大手企業の不祥事が相次いでいます。神戸製鋼所のデータ改ざん問題、日産自動車の無資格者検査問題をはじめ、東芝、電通、商工中金など、誰もがうらやむ勝ち組といわれていた企業が、突然のコンプライアンス問題発覚により混乱に陥る――。そんなニュースが今年も数多く報道されました。

日本経済の屋台骨ともいわれてきた名門企業で不祥事がこう連続して発覚しては、もはやどの企業から何が出てきても驚かないとすら感じてしまいます。

不祥事が発覚した企業では、事件の直後には真相究明が、真相究明の次には経営責任が話題となります。経営体制の見直しで終わらず、業績悪化が続けば、企業全体の人員整理にまで話が進むことも少なくありません。

大量リコールの発生から法的整理にまで一気に至ったタカタのようなケースは限られるにしても、事件をきっかけにした事業売却や人員計画の修正から、東芝のように事件から1年もたたずに大規模な希望退職の募集に至ることもあります。

業績・体制が不安定な中堅企業・ベンチャー企業では、会社がなくなることを頭の片隅におきながら働いている方もいるかもしれません。そもそも、企業の平均寿命が30年といわれるなか、40年から50年といわれる職業人生を一つの会社だけで過ごすことは、たとえ本人に転職の希望がなくても困難です。

新卒で入社した企業に定年まで勤めることができるのは、一部の名門企業に勤める従業員の特権とも言われていましたが、いまや名門企業ですら突然の退職がありうる時代。誰にとっても他人ごとではないのです。

 

退職は相手のタイミングでやってくる

終身雇用が幻想だということは、誰しも頭ではわかっているのだと思います。40歳以上のビジネスパーソンであれば、バブル崩壊後からリーマンショックを経てデフレ経済が続くなか、企業のリストラを直接または間接的に経験されているかもしれません。

実際、仕事柄さまざまな企業の方々とお話しする機会があるのですが、多くの方が「定年まで会社にしがみつくつもりなどない。退職を考えたことなど何度もある」と口にされます。とうの昔に終身雇用は崩壊しており、企業に頼り切った人生設計などできない、いつか退職することがあるという覚悟は持っている。だから、自分は退職について無防備ではない、というわけです。

しかし、多くの方が(特に転職未経験の方が)勘違いしているのは、退職は多くの場合、自分の都合の良いタイミングではなく、相手のタイミングでやってくるということです。

「いつか(自分が選んだ退職時期に)退職するかもしれない」ことと、「いつか(自分にとって不都合なタイミングで)退職するかもしれない」ことは、まったく別物なのです。退職は自分が思いもしないタイミングでやってくるかもしれない。そのとき、あなたはうろたえず冷静に自分のキャリアや生活の行く末を判断できますか?