企業・経営 週刊現代

80年代にあえて着物を売った会社の「逆張り」経営術

業績好調「日本和装」吉田社長に聞く
吉田 重久

【必死】

最近、凝っているのはオートバイです。先日は4日かけて東京から福岡に行ってきました。監査法人から「万一のことがあったらどうするんだ」と止められましたが「全国の拠点をまわって社員に元気な姿を見せたいのです!」と理由をつけ、飛び出してしまいました。

確かに少し危ないかもしれませんが、スリリングな状況に身を置くことで、若い頃の頭や体の感覚を取り戻したかったのです。

あと、最近は「必死で」休んでいます。私が出過ぎると人材が育たないと考え、歯を治したり、英会話を学んだりして出社時間を減らしたのです。うれしいことに会社はうまくまわっていました。何でも自分でやりたい性格だから、自分が手を動かせないのはどこか怖い。でも「今こそ信頼する人たちに任せるべきだ!」と命がけの思いで休んでいます。

【汗】

最近「和装を世界遺産にするための全国会議」というNPO法人を立ち上げました。和装は日本の風土や暮らしが培った、世界に誇る伝統文化。四季折々の季節を模る文様、日本の草花で彩られた染物……すべてに「日本そのもの」が息づいています。

セオドア・ルーズベルトの言葉に「真に賞賛しなければならないのは、泥と汗と血で顔を汚し、実際に現場に立つ者」というものがあります。いまの私の目標は、まさにこれです。汗を流し、後世の人に「あの人たちがいたから今もきものの文化が残っている」と言ってもらえたらうれしいですね。

(取材・文/夏目人生法則)

『週刊現代』2017年12月9日号より