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Fカップ美人ジョブホッパー、実は「消耗しています」

A子とB美の複雑な感情【14】
鈴木 涼美 プロフィール

毎回違う彼氏と揉めている

29歳、独身、顔面偏差値高めでFカップ、経験した仕事は現在の仕事を入れて6つ。長く勤めたことはないが、どこでも比較的楽しい仕事生活を送ってきたし、クビになったことも逃げるようにして辞めたこともない。彼女の生活は、決して退屈ではなったし、条件の悪いものでもなかった。

「福利厚生とか、年金とか、保険とか、お産するなら、とかは事務職でも大きい企業の正社員やってる同級生に比べると不利だな、とは思うけど、正直、60代とかで引退した後のこと考えて事務とかやるのも違うなって思うし、完全なフリーランスとかになったことはないから、家の契約とかですごい苦労したっていう経験ないんだよね。クレジットカードあんまり使わないからゴールドカード欲しいとかもないし。引っ越しは学生時代から数えて2回しかしてないのもあるけど」

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それなりに偏差値の高い都心の大学を出た同級生は、大企業の正社員もいれば、未だにバイト状態のような自由人もいる。彼女だけ特別に不安定なわけではない。長く一つの会社にいる正社員たちに、ある程度の優位性があることはわかるが、条件が悪い場所で働いたことのない彼女は比較的楽観的である。

「でも、やっぱり、ふわふわしてると、ふわふわはしてるなって思うよ。サークルとかバイトも長くやってるとなんか強いじゃん、先輩後輩仲間とか。絆みたいな。そうだね、絆、ないね、私。すぐ友達できるけど、会社の友達は会社辞めてまで会う子はほとんどいない。だから若干男性依存ぽく、すぐ彼氏とかとドロドロするのかも」

確かに、彼女とごくたまに連絡を取ると、大抵毎回違う彼氏と何かしらの揉め事の最中にある。軽やかに人生のお試し期間らしい大学時代を過ごした彼女は、良くも悪くも未だにその軽やかさを一切失わず、軽やかに会社から会社、仕事から仕事、同僚から同僚、男から男を渡り歩いている。

「なんか、別に困ったことはないけど、地元遠いから疎遠だし、帰る場所って感じもしないし、かと行って東京に確固とした居場所があるわけじゃないし、この仲間は一生もの、みたいのもないし、常に新しい出会いはあるけど、割と上積みの付き合いで終わるから、消耗はするかもね」

 

最近の彼女は、再び大手のメディアが運営するウェブサイトの編集部にいる。以前勤めていた環境と似ているが、出会う男性が、年上は既婚、未婚は年下、になりつつあることだけは変わった。結婚願望がないわけではないが、恋愛体質は変わらず、理性で結婚相手を探そうとは思わない。最近また彼氏と別れたが、友達が開いた合コンで会った医者とちょっといい感じの関係にはなっている。

転職サイトで始まった彼女の社会人人生は、今のところ転職サイトが扱うべき話題に満ち満ちているというのは、皮肉というより面白い偶然だと私は思っている。

〈次回に続く〉

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