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Fカップ美人ジョブホッパー、実は「消耗しています」

A子とB美の複雑な感情【14】

元日本経済新聞記者にして元AV女優の作家・鈴木涼美さんが、現代社会を生きる女性たちのありとあらゆる対立構造を、「Aサイド」「Bサイド」の前後編で浮き彫りにしていく本連載。今回は、第7試合「職場」対決のBサイド。

今回は6つの仕事を渡り歩いてきたアラサー美女。ジョブホッパーを体現するような軽やかさの持ち主だけど、実は……。

*バックナンバーはこちら http://gendai.ismedia.jp/list/author/suzumisuzuki

大学は人生のお試し期間

彼女の社会人1年目は、インターネットの転職サイトにある、読み物やインタビューの企画を考える、とても楽しい仕事でスタートした。サイトの本丸である採用情報やクチコミ投稿に興味は持てなかったが、おまけ的なコンテンツは自由に企画できたし、比較的新しく小さい会社ならではの、新人でもガンガン会議に参加できる状況はありがたかった。

学生時代、結構色々な経験はできた。インドも行ったし、アウシュビッツも行ったし、サークルのイベントで1日2人とセックスもした。キャバの体入荒らしもちょっとしてみたし、ガールズバーでバイトもしたし、キャンペーンガールでタバコを配るお姉さんもやった。企業のOLのようなアルバイトも期間限定でしたし、イベントコンパニオンは何回も経験した。飲み会は死ぬほど行って、恵比寿と麻布と青山の店に詳しくなった。

ただ、長く一つの部活やサークル、バイトやゼミに入れ込んだわけではないので、一生の友というほど仲が良くなった友人はいないし、一番長く付き合った彼氏とも1年ちょっとで別れた。

「スポーツ漫画読んだときくらいは、なんか1個くらい一生の趣味とか一生の仲間との思い出とかあった方が楽しそうとは思うけど、別に普通だよね?大体みんなこんなもんじゃない?」

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彼女の言葉通り、別に私も学生時代をラグビーに捧げたりしていないし、多くの人がそうだと思う。そもそも大学という場所が人生のお試し期間であるならば、彼女のような、ものすごく入れ込むものはなくとも結構多忙に色々やってみる、という選択は大変に正しい。そして彼女もまた、スポーツ漫画を読んでいる最中以外はそういった性質を恥じることなく、誇り高くごちゃまぜの大学を卒業した。

転職サイトの企画では、アパレル会社の社長にも会ったし、元芸能人の営業マンにも会ったし、企画でお世話になったライターさんとセックスもしてちょっと付き合った。ただ、やはり会社の規模が小さく、転職サイトの性格上、それほど大きな企画は非現実的で、読者の反応やバズり方も小さかった。1年間は楽しく仕事をしたが、2年目に入って早々に、自分が他社の転職サイトばかり見るようになる。

 

「IT系だし中小規模だったら、人の定着は本当に悪いから、私真面目に働いてたし、簡単に辞めますっていうのは残念がられたけど、でも別にニュースとしては大したことない感じ。次の会社がいい会社だったし、しょうがないねーみたいな。すっごく仲良しの人はいないけど、ご飯とか何回か行ったことある先輩とは、辞めた後も2回くらい会ったよ」

2回くらい会った後、結局会わなくなったが、SNSで繋がっているせいか、別に疎遠になったという感じはしないらしい。2つ目の会社はウェブコンテンツをいくつも持っているメディアで、契約社員として採用された。