政治政策

ゼネコンがさっそく小池都知事に見切りをつけたかもしれない

豊洲追加工事が不調の理由

中止・不調の嵐

「風」は残酷である。小池百合子都知事を舞い上がらせた「緑の風」は、今、ぱたりと吹き止んで、「小池改革」は色あせた。

希望の党は小池色を薄め、豊洲の盛り土に五輪の施設見直しで小池氏を煽ったマスコミは、掌返しで小池氏を叩く。その流れを見切った東京都の官僚とゼネコンを始めとする業界は、離反に回っている。

それが如実に表れているのが、豊洲市場の追加工事だろう。

安全対策として、3棟の地下ピット室にコンクリートを敷設、地下水管理システムを強化し、換気設備を整えることにした。3棟で3件、都合9件の入札が繰り返されているが、以下のように中止・不調が続き、まだ2件しか成立していない。

5街区(青果棟・鹿島建設JV施工)では、鹿島が落札した地下ピット床面対策のみで、地下換気設備と地下水管理システムは不調。6街区(水産仲卸棟・清水建設JV施工)では、3件の入札がすべて不調。7街区(水産卸棟・大成建設JV施工)では、アサノが地下換気設備を落札し、地下水管理システムは不調、地下ピット床面対策が中止だった。

追加工事は、豊洲市場の18年10月開業に欠かせない。従って、工期から逆算すれば10月には業者選定が終わっていなければならないのに、中止・不調が続き、年内に契約が成立しなければ、移転スケジュールに支障をきたす。

 

業者サイドの言い分はこうだ。

「入札制度が変わり、予定価格(落札の上限価格)は事前から事後に、そのうえ1者入札は認められなくなった。不調が続いて時間がかかるのも無理はない」

小池氏の意向で導入された入札制度は、①予定価格の事後公表、②JV編成義務の撤廃、③1者入札の中止、を柱としている。

それまで、継続案件の入札などでは、最初に受注した業者が、他社が見送るなか既得権益のように1者入札、予定価格の上限に合わせて99%以上で落札するケースが少なくなかった。それを小池氏は是正した。

悪いことではない。談合で業者が決まる以上、価格は業者サイドの言い値が通り、高値に張り付く。改革は、17年度からの制度改革第一弾であり、「1者入札99.9%落札の抑制」が、目的とされた。

追加工事までの豊洲市場は、業者が工事を分け合い、官僚がそれを追認する予定調和の世界だった。

最初の発注は土壌改良工事であり、11年8月、5街区(青果棟)を鹿島建設JVが119億円で、6街区(水産仲卸棟)を清水建設JVが333億円で、7街区(水産卸棟)を大成建設JVが89億円で落札した。スーパーゼネコン4社のうち大林組が入っていないが、同社は最大工区6街区で清水とJVを編成、バランスは取れている。

この時点で、13年11月に実施された建物施設の入札でも各社スライドすることになっていたが、各社横並びで「(ゼネコン各社の)見積価格が(都側の)予定価格に合わない」として、応札しなかった。

焦った都の担当幹部は、ゼネコン各社幹部を呼んで“希望”を聞いた。その結果、14年2月に再入札が行われ、5街区の鹿島JVが259億円、6街区の清水JVが436億円、7街区の大成JVが339億円で落札した。

入札制度改革は、こうした業者主導、官僚追認の談合の世界を廃するものだった。しかし、豊洲安全対策という最も注目を集め、工期を譲れない工事で、小池氏は“返り討ち”にあった。