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ゴムなき時代、避妊には魚の「意外な部分」が使われていた

その名も「フィッシュスキン」

ゴムなき時代のコンドーム…

「ゴム」という隠語があるように、現在、主に使用されているコンドームは、ラテックスというゴムの木から採取した樹液を原料として作られている。最近ではその「薄さ」が自慢であるポリウレタン製も増えているが、ゴム製コンドームは、世界的に見ても圧倒的なシェア率だ。

ゴム製コンドームは元々、19世紀半ばに、グッドイヤーなどのタイヤメーカーがゴム技術を発達させたことで、その原型が出来たといわれており、日本には1909年にその第一号が登場した。

さらにコンドームの歴史を辿ると、その原型は、紀元前3000年頃、初期エジプト王朝時代まで遡る。当時のコンドームは熱帯病や昆虫の咬刺から陰茎を守る保護具やセックス時の小道具、身分・地位のしるしだったといわれ、現在のように避妊具や性病予防具ではなかった。この“元祖コンドーム”の原料には、ヤギやブタの盲腸、膀胱が使用されていた。

その後も同様の動物内臓を用いるコンドームは各地で広がっていくが、なかでも、コンドームの歴史に革新をもたらしたのが「魚の浮き袋」を利用したコンドーム、通称「フィッシュスキン」である。17世紀後半には、既にイギリスの産婦人科医・コンドンによって使用されており、日本でも戦前まで利用されていたロングセラーである。

 

このフィッシュスキンはニベ科のイシモチや中国大陸沿岸部に分布するキングチという魚の浮き袋を乾燥させて、作られていた。

イシモチは35cmほどの大きさの魚。その浮き袋は全長の3分の1程度、10㎝余の長さであり、ちょうど、平均サイズの男性シンボルがスッポリと収まる。半透明でゴワゴワしている素材だったが、使用前にぬるま湯に漬けることで、弾力も今のゴム製のコンドームと遜色ないほどになる、優れものだった。

「快感」は現在のコンドームには及ばないが、丈夫で何度でも使用できたという。浮き袋は伸縮性にも富み、ゴムなき時代の「ゴム」にはピッタリだったのだ。(井)

『週刊現代』2017年12月2日号より