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「変なホテル」はなぜ大成功したのか? 社長がはじめて秘密を明かす

必ず結果を出す経営手法

エイチ・アイ・エス(HIS)グループの大胆な役員刷新、大型の資金調達で、今また注目を集めるHISの創業者、澤田秀雄氏。

澤田氏はなぜ、ハウステンボスの再生など、旅行業以外の新規事業に次々乗り出すのか? 「変なホテル」はじめ、そこで必ず結果を出せるのはなぜなのか?  将来に備え、いま実験を始めて将来収益の柱になりそうな4つの事業とはどんな分野なのか? その理由は?

これらの問いについて、本人が詳しく明かした『変な経営論 澤田秀雄インタビュー』(講談社現代新書)が、刊行された。澤田秀雄氏のインタビューの冒頭を公開します。

 

再び経営の最前線に立った理由

社会が変化するスピードはますます速くなっており、どんなに経験が豊富でも歳をとった人間には対応が難しい。会社の経営は、感受性が豊かで体力も十分な若い世代に任せるほうがいい――。

それが長年の持論だった。いまでもそう考えている。

実際、2004年6月に53歳で会長に退いて以降、エイチ・アイ・エスの経営は若い幹部たちに任せてきた。その後、私がプレイングマネジャーとして経営に携わったのは、証券やテーマパークなど、旅行以外の事業だった。

しかし、そんな私が2016年11月、なんと65歳にしてエイチ・アイ・エスの社長に復帰することになった。実に12年ぶりのことだ。

もちろん、理由がある。あえて言うなら、時代の変化が予想を超えて速かったということだろう。

一つ目は、旅行業界を取り巻く環境の変化。日本の人口が減り始め、海外旅行者の数が頭打ちになった。実店舗をもたないオンライン専門の旅行代理店も現れた。一つのビジネスモデルが通用するのは、長くて30年といわれる。私の作ったエイチ・アイ・エスのビジネスモデルも古くなったのだ。ここでビジネスモデルを根本から変えて、旅行業を再び二桁成長に戻す必要がある。

たしかに日本の旅行業は今後、大きな伸びは見込めないものの、実は世界全体を見ると旅行業は伸び盛りの分野で、この10年間で規模が10倍にもなっている。こうした需要を取り込んでいく。いわば「日本のエイチ・アイ・エス」から「世界のエイチ・アイ・エス」に脱皮させるのである。

二つ目は、事業が旅行業に限らず、多岐にわたってきたことだ。グループ会社はいまや約120社もある。私が会長だった12年間で、エイチ・アイ・エス・グループの売上高は2倍、利益は3倍になった。こうした躍進を支えているのが、旅行以外の分野なのだ。

例えば子会社のハウステンボスは、経常利益100億円をコンスタントに稼げる企業に成長した。エイチ・アイ・エス本体の経常利益とさほど変わらない。テーマパーク事業がここまで伸びるとは、さすがに私も想像できなかった。