難民の子どもがMSF(Médecins sans frontières=国境なき医師団)スタッフを描いた絵。医療用の車の中に貼られていた(ギリシア)
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「国境なき医師団」活動の舞台裏を見に行ってみると…

何をしているか具体的には誰も知らない

ひょんなことから、つながった

『国境なき医師団』に些細な寄付をしていた。

これがまた妙な話なのでおおまかに再現すると、もともと「男も日傘を持たないと日本の夏は厳し過ぎる」と数年前にツイッターに書き込んだのである。で、日傘というとどうしてもピンクでフリルがあってという印象が強いから、ドクロの柄でも染めたロック感のあるやつなどがいいと自分のポンチ絵を付け加えた。

すると、小さくない反響があり、その中に本当の傘屋さんからの返信があった。「作りましょう!」と言うのである。

SNSの平和な時代でもあった。嫌がらせなどもなく、とんとん拍子に話は進み、その年の夏には「Docrot」という名前で初の商品が出た。その後さらに改作が進んで今は定番商品になっており、何より驚いたのは「男だけじゃなく、女もフリルの日傘なんか使いたくない。デザインもそうだが女性用は小さくて困る」という顧客が少なくなかったことで、熱帯化の進む日本の男女の苦難解消のため我々は貢献し続けているのだった。

さて、そのアイデア料をどうしましょうかと、初年度に傘屋さんはメールしてきてくれた。ここからが話の本筋である。俺はそういう目的で考えたわけでなく、むしろ実現してくれてありがたいと思っていたから、間を取ってどこかに寄付したいと申し出た。人間の苦難と立ち向かっている団体がいいと思った。

で、すぐに頭に思い浮かんだのが『国境なき医師団』であった。

というわけでこっちは数年、勝手に寄付してもらっていた。

 

するとある時、『国境なき医師団』自身から取材の依頼が来た。寄付を謳っていたことを知った広報部が、『国境なき医師団』(ここからは海外での略称MSFで行きます。なんか堅苦しいので)の出している記事上でインタビューしたいとおっしゃるのである。

一も二もなく受けた。

広報から谷口さんという女性が来てくれて、そもそもMSFがどういう団体であるかの簡単な講義をしてくれた。そこで初めて知ったことがあまりに多かった。

まず、彼らが戦地以外の地域にもいて、例えば性暴力被害の多い場所で治療や啓蒙活動をしていることや、貧困国での栄養失調治療にも余念がないことを、寄付者である自分は知らなかった。また何よりも、「医者でなくてもMSFのメンバーになれる」ことに自分は無知だった。