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日本が中国に完敗した今、26歳の私が全てのオッサンに言いたいこと

勝手に「終わり」とか言ってんじゃねえ
藤田 祥平 プロフィール

中国のタクシーの覇気を見よ

……という話を60代の父にしたところ、彼は私に聞いた。

「向こうでは、車はどんなものが走っている?」

私は見かけたロゴの社名をいくつか挙げた。

「運転の感じはどうだった?」

「イタリアと同程度だ」と私は答えた。

「だけど、もっと荒い。何度かタクシーに乗ったが、飛ばしまくる。混んでいるところではクラクションを連打しながら、割り込みまくって進む。そのくせ危なくはない。すばらしい運転技術だよ。40分かかるとナビに出ているところを35分で着く」

「その5分は大きいぜ」と父は言った。

「その5分でどれだけのことができる。商談の準備を確かめられる。仕事のイメージを描ける。煙草を一本つけて、気持ちを作れる」

「タクシーの助手席に乗っていたんだが、あの運転、なんだか親父の若いころを思い出したよ」

「その感覚は正しい」と彼は答えた。

「おれも若いころは、飛ばしまくりの割り込みまくりだった。いま思えば、そうやって経済が発展していたんだろうな。勤めていたころ、5時に帰社しなければならないときは、3時までに仕事を終えて、2時間ほど酒屋で角打ちしたもんさ。それでよかったし、酒屋にも金が落ちた」

私は深く頷いた。

 

ところで、最愛の妻を7年前に失った彼はいま、あたらしいフィリピーナの恋人をフーガの助手席に乗せて、何度目かの青春を楽しんでいる。まるで彼とともに、日本の物語が美しく終わるかのようだ。

しかし、勝手に終わられてはたまらない。私たちはまだ、あと50年は生きねばならないのだから。

そして深センの夜の街を歩いているとき、私の傍らにいた私と同年代のガイドは、つたない日本語で私に聞いた。

「どうすればもっと日本語がうまくなるだろうか?」

同年代のガイド

彼は私とともにスラム街に分け入り、勇敢な心でもって、貴重な証言を人々から聞き出してくれた男だった。

私は答えた。

「日本を、日本語をもっと好きになることだ。書店にある、中国語に翻訳された日本人作家の小説を読んで、お気に入りを見つけるんだ。それから、その小説の日本語版を買って、2冊を突き合わせて読む。そこで用いられている言葉は、言葉のプロによるものだ。だから、間違いない」

彼は深く頷いて言った。

「それはとてもいいアイデアです。ありがとう。やってみます」