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やむをえず他人の子を叱るときの「3つの条件」

「5歳児がPTSD」問題から考える

そんなに怒鳴らなくたって

11月9日、「女児、大声で叱られPTSDに 祭り主催の市に賠償命令」という報道があった(朝日新聞)。記事によると、とあるお祭り会場で、5歳の女児が並んだお菓子を手にとったところ、店番をしていた80歳の男性に怒鳴りつけられた。女児は泣きだし、その父親と80歳男性が口論になった。

その後、女児は人を怖がるようになり、4ヶ月後、PTSDと診断された。父親はお祭りの主催者である埼玉県深谷市を訴え、損害賠償20万円を勝ち取ったというものだ。

ある日、突然、他人から大声で怒鳴りつけられる――そう聞いてすぐにあなたの頭に浮かんだのは、かの豊田真由子元衆議院議員の騒動ではないだろうか。

10月の総選挙で落選したが、議員バッジをつけたエリート人材による、身もふたもない暴言暴力に、あいた口がふさがらなかった人は少なくないだろう。

そもそもこの問題が表沙汰になった原因は、「秘書のミスがひどすぎたせい」ではなく、「豊田氏の怒り方がひどすぎた」ことだ。しかし、豊田氏本人がそこに気がついているかは定かではない。

怒ることは誰にもある。だが、問題は「どう怒るか」であり、「どのように怒りを表出するか」だ。さもなくばその怒りがとんでもない方向に飛び火して、思いもよらぬ深刻な事態を招いてしまうことがある。

裁判では、80歳男性が高齢のため耳が悪かったことや、女児のそばにいながらその行動に注意していなかった親の落ち度などについても言及されたが、この結果を聞いた人々の意見はさまざまだろう。

「そんなに怒鳴らなくたって」

「5歳の子どもがPTSD?」

「何も訴訟までしなくても」

「これ、責任は市にあるわけ?」

現場に居合わせていなかった私がジャッジすることは困難だが、ここで私が提起したい問題はこれだ。「人を怒鳴りつけるという行為がもたらすもの」「PTSDとは何か」そして「人を注意する時に気をつけたいこと」、この3点である。

 

「育ちの傷」は、時間が経っても治らない

私は大阪市の一般社団法人WANA関西という団体の代表として、心に傷(「育ちの傷」と呼んでいる)を負った人の支援をしている。その模様は近刊『親に壊された心の治し方 「育ちの傷」を癒やす方法がわかる本』(講談社)に書いたが、そこには、大人から背負わされた育ちの傷によって人生が狂ってしまった人たちがたくさん登場する。

そのほとんどが「こども時代の不適切な生活環境」、すなわち「親からつらい目に遭わされた、ひどい扱いを受けたなどの負の経験の持ち主」である。全体的に生活環境は悪くない。中には学歴至上主義の家庭で育った人もあり、加害者とされる親の認識はまったく違っているだろうと想定される。

彼らの多くが30代後半から上は60歳代までの立派な大人たちで、共通しているのは、日常における強いマイナス思考から来る対人恐怖、強烈な自己否定、つねにつきまとう不安感、過度の緊張であり、そのために転職を繰り返したり、わが子を可愛いと思えず虐待したりしてしまう、などの生きづらさをかかえている。

また、これまで独力で自身の状況をなんとかしようと努力してきており、たくさんの本を読み、心理学を学び、高額な占いにも足を運んだりしている。その結果、自力での回復は難しいと悟った人から順にここへ手当の方法を学びに来ているといった感じだ。