photo by iStock
格差・貧困 学校・教育 ライフ

東大卒と結婚したけど「息子が東大入ったら泣く」という女

A子とB美の複雑な感情【12】
このエントリーをはてなブックマークに追加

元日本経済新聞記者にして元AV女優の作家・鈴木涼美さんが、現代社会を生きる女性たちのありとあらゆる対立構造を、「Aサイド」「Bサイド」の前後編で浮き彫りにしていく本連載。今回は、第6試合「夫のスペック」対決のBサイド。

今回は東大卒商社勤務の「高スペック旦那」をゲットしたGカップレースクイーン。優良物件を捕まえたと思いきや、意外な苦労もあって……。

*バックナンバーはこちら http://gendai.ismedia.jp/list/author/suzumisuzuki

選民意識がほぼ天然

彼氏の24歳の誕生日に、みんなのいるパーティーの最中、ビデオメッセージでプロポーズされたとき、彼女のテンションは盛り上がっている一方、付き合って半年強の同い年の人と、場のノリなんかに流されて婚約してしまっていいのか、というごく真っ当な気持ちにもなった。

何より彼女はまだまだ恋愛市場で価値と需要のある若さだった。彼の方の半分が記入された婚姻届をみんなの前で渡され、その場で記入しなければいけない空気になった時、彼女は印鑑を持ち歩く習慣がなかったことを心から良かったと思った。

ただ、彼女が「わざと書き間違いしてとりあえずナァナァな感じにするか、印鑑ないから、2人の時にゆっくり書くとか言うか」案じずとも、その後、無事に彼と入籍するまでには結構波乱の道のりがあった。

photo by gettyimages

そもそもその彼のバースデーパーティーというのを主催しているのは、彼の東大時代のサークル仲間で、そこに合コン目的で駆けつけた彼女の友人たちが入り混じり、彼の職場の気の合う仲間なども数人いたが、それもほとんどが東大か慶應卒ボーイたちであった。「暇な女子大生」なら喜びそうな場だが、彼女はそれほど楽観的なタイプではなかったし、むしろ彼らの意味のない万能感は鼻についた。

「世の中に不幸な人がいることとかは本当に一切関係ないし、むしろそんなことは知らないし、知りたくもないし、知ったとしても忘れるって感じじゃない?東大生。全共闘とかの時代は違うのかな?でも全体的におぼっちゃまくんだよね。選民意識が、ほぼ天然なの」

彼自身も、都内の有名男子校に中学から入り、何の意外性もなく東大に入った。東大ではバレーボールのサークルでこれまた何の意外性もない東大生たちとそれなりに暇でそれなりに充実した大学4年間を過ごし、さらっと就活して商社に入った。

商社の仲間は商社の仲間で、幼稚舎から慶應に入ったり、地方のトップ高校から東大に入ったりした、当たり前エリートくんたちで、彼は入社当初から仕事にやる気を見せながらも、結構な頻度で女の子達と合コンして、女の子と出会えるのも、彼女たちが自分らに興味を示すのも当たり前だという感覚を心底信じていた。

 

短大を出てレースクイーンのアルバイトや読モ経験もある同い年の彼女が彼と出会ったのは、入社一年目の夏休み前で、彼の同期にクラブでナンパされたのをきっかけに開いた飲み会だった。コリドー街の飲み屋で初めて見た彼は、社会人歴こそ彼女より短かったが、それでも余裕のある態度と、他の同期たちに比べて威張ったところのない彼の物腰には好印象を持った。

Gカップのレースクイーンは、東大卒の商社マンと同じくらいにはモテ偏差値の高いところにいる。そして彼も十分それは承知で、「俺なんて釣り合わないかもしれないけど」とあえて下からの口説き文句に、彼女はうっかりほだされた。

彼女から見ても彼は好条件の優良物件としか言えなかったし、正直まともに就職しなかったし働きたい意欲も別になかったので、優良物件は光り輝いて見えた。

記事をツイート 記事をシェア 記事をブックマーク