舛添レポート

政治家の質を劣化させた小選挙区制を廃止せよ

イギリス型ウェストミンスター・モデルを脱せよ

2010年05月04日(火) 舛添 要一
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 小選挙区制が日本の政治を悪くしている。それを証明したのが、昨年の政権交代、そして鳩山内閣の体たらく、小沢支配体制である。

 そもそも、自民党の長期政権がもたらした諸悪を撲滅するために、政権交代の可能な二大政党制を作ろうというふれこみで、小選挙区制度は導入された。しかし、現実は見ての通りである。しかも、小選挙区制の本家本元のイギリスでは、保守党、労働党の二大政党に伍して、第三極の自民党が健闘している。ただ、死票が多く、議席数に反映されないことが、問題なのだ。

  私は、政治学者として世界各国の政治制度を比較研究してきたが、イギリス型の制度は、ウェストミンスター・モデルといって、世界でも特異な制度で、ニュージーランドなど少数の国でしか行われていない。この多数派支配型のウェストミンスター・モデルに対抗するコンセンサス・モデル(多党制と議会における協議を基本とする)のほうが先進国では普通で、しかも国民生活にとって、より良い成果をもたらしている。

 自民党政権に終止符を打って細川内閣が成立したのは、中選挙区制の下でのことである。皮肉なことに自民党・社会党の二大政党制は存在していた。だから、小選挙区制でないと政権交代が起こらないというのは事実ではない。

 今回の政権交代で、自民党的な政官業の癒着や、政策の一貫性の欠如などが是正されるどころか、小沢独裁下で、むしろより悪くなっているようである。後世の歴史家が振り返ってみると、鳩山由紀夫内閣の最大の功績は、政権交代・二大政党制が国民のためにならないことを実証したことになるのではないか。

 では、小選挙区制のどこが問題なのか。中選挙区制と比較しながら考えてみよう。

 第一に、政治家の質の劣化である。中選挙区制の下では、たとえば、自民党の三角大福中の五大派閥が競い合っていた。同一の党に属していても、候補者は切磋琢磨して、政策をみがいてきた。ところが、小選挙区制では、そのときの風で、どんなに無能な候補者でも当選するので、国会が衆愚の館と化すことになる。小泉チルドレン、小沢ガールズがよい例である。こうして、半数以上が使い物にならない国会議員からなる国会となってしまう。だから、議員定数を半減せよと主張しているのだ。

 第二に、政策中心ではなくなることである。私と政策や理念を共有する若い国会議員に、「なぜ民主党から立候補したのか」と問うと、「自民党から出たかったが、すでに自民党候補が決まっていたので、仕方なく民主党から出た」と答える。つまり、選挙区情勢の便宜的理由が先で、政策ではない。
自民党の中にも私と政策が相容れない議員はたくさんいる。民主党の中にも政策的同志は多々いる。したがって、政界再編成が不可欠なのだが、そのためにも、今の小選挙区制は廃止しなければならない。

 第三は、小選挙区制だと、候補者は、政党に「おんぶにだっこ」で、自らの手で選挙を戦う努力を怠ってしまう。だから、小泉チルドレンは、ブームが去ると惨敗するし、小沢ガールズも同じ轍を踏むであろう。中選挙区制の下では、政党ではなく、派閥間で競争したし、候補者は自らの個人後援会を基盤にして戦った。党の世話になっていないから、党と喧嘩別れするのも比較的容易であった。

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