メディア・マスコミ 不正・事件・犯罪

「座間9遺体事件」マスコミはまだ凶悪犯罪をアニメのせいにする気か

にわか専門家のデタラメが野放しに
原田 隆之 プロフィール

「わからない」のが当たり前なのに…

しかし、いつも不思議に思うのは、政治や経済、国際問題や医療問題など、さまざまな専門的なトピックについては、その分野の専門家が解説し、コメンテーターはそれを聞いて感想や意見を言うのが普通であるのに、犯罪の問題になると、なぜか誰もがみな「にわか専門家」になる。

タレントや歌手が、「自説」を自信たっぷりに開陳し、事件や容疑者を分析してみせる。その結果、今紹介したような、偏見に満ちた意見が跋扈し、珍説のオンパレード状態になる。

実際、アニメやビデオなどが、猟奇事件の「原因」となることはない。これは数多くの研究ではっきりしている。

犯罪に対してメディアの影響は限定的で、元々そうした傾向を有していた者に対し、犯行にヒントを与えたり、引き金になったりする場合はあるが、犯罪そのものの原因となることはまず考えられない。

もしアニメが猟奇犯罪の温床であれば、世の中は猟奇殺人者であふれ返って、人類が滅亡するような事態になっているだろう。

〔PHOTO〕iStock

両親の離婚が犯罪に影響するかどうかについては、先述のとおりで、ほとんどの場合は非行や犯罪には影響しない。離婚したかどうかではなく、重要なことは「家族関係の質」である。

両親がそろっていても、両親に犯罪傾向や粗暴傾向があったり、子どもの素行に無関心で監督不足であったりすると、それは子どもの非行・犯罪に大きな影響を与える。

一方、親が離婚しても、愛情をたくさん受けて育った子どもはたくさんいるわけであり、非行や犯罪とは無縁の生活を送っている。

 

先ほどの番組の最後に私が強調したのは、事件に対して安易な分析をすることのあやうさである。このような不可解な事件が起きると、われわれは誰しも不安を抱き、なんとか辻褄をつけて「理解」することで、不安を鎮めようとする。

しかし、このような前代未聞の事件は、そう簡単に「わからない」のが当たり前なのだ。安易な分析をして、理解したような気分になることは、慎むべきである。そのような分析は、往々にして間違っているからだ。