企業・経営 週刊現代

西田厚聰元会長・東芝のドンの告白「戦犯と呼ばれて」

「僕は悪者。だが、メディアも悪い」
週刊現代 プロフィール

いまは報告も受けていない

<西田氏がそんな成長戦略の柱にしたのが半導体事業だった。西田氏はその半導体事業で提携していた米サンディスク(現・ウエスタンデジタル傘下)との「秘話」も明かした。>

僕が社長だった時に一番重視した事業が半導体事業ですよ。ですからWHを買収する時も、実は当時の財務担当重役に指示をしたんです。

僕が社長でいる間は半導体に目一杯の投資をしたいから、「半導体に投資ができる余裕ができる額はどれくらいか、はじいてくれ」と。そのうえで、「もしWHの買収金額がそれを超えそうであれば、それは諦める」と言った。

半導体のほうが(WH買収より)重要だという気持ちだったんです。実際、僕は半導体のためにはものすごく頑張って投資をしてきました。だからあの当時、生産能力が一気に上がったんですよ。

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それにいま、東芝は(ウエスタンデジタルと共同ではなく)単独で半導体事業に投資をすると言っていますが、あれも僕が社長の時、自分たちで投資をすればいいではないかと言うと、「それができないんです」と言っていたんです。

「なぜだ」と聞くと、「契約上、自分たちが単独で投資できないようになっています」と言う。「なんでお前たちは、そんな不平等な契約を締結したんだ」と怒って、「それなら俺が行ってやってやる」と、半導体の人間を連れて、すぐアメリカに乗り込んで契約の再交渉をして、東芝が単独で投資できるように変えたんです。

 

だからいま、東芝が単独で投資をするということも、戦略の一つとして残っているんです。

それだけ半導体に対する想いが強かった。こんなことだったら、半導体はアメリカ勢のいいようにされてしまう。とんでもない話だということで、強力なネゴをして変えたんですよ。

(現経営が半導体事業を売却することを決めた)いまの状況については知りません。

だって僕は詳しい報告を受けてないんですからね。新聞に書いてあることしかわからないですよ。政情リスクに屈せず、これからも半導体事業を伸ばしていってほしいですが。

西田氏は最後に、「何度も言うように、第三者委員会の結果だけでいろいろな報道がされてきた。それを皆さんが訂正した後だったら、私はいくらでも話しますよ」と語り、悪者として扱われることへの悔しさをにじませた。

カリスマ経営者か、戦犯か――。西田氏と東芝の裁判闘争は現在も続いている。

西田厚聰(にしだ あつとし)
2005年から東芝の社長、会長を歴任。'15年に不正会計問題で相談役を引責辞任した。現在73歳

「週刊現代」2017年11月18日号より