企業・経営 週刊現代

西田厚聰元会長・東芝のドンの告白「戦犯と呼ばれて」

「僕は悪者。だが、メディアも悪い」
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法令順守を言い続けたのに

<西田氏は社長在任時のみずからの経営についても振り返った。西田氏と言えば、社長就任後に発表した中期経営計画で「3年で3兆円」の投資をぶち上げて、攻めの経営に邁進したことで知られる。

実際、就任3年で売上高を1兆5000億円以上、最終利益も800億円ほど増やしたが、そうした積極経営が不正会計を生む遠因になったとも指摘される。

リーマン・ショックに直撃されて'09年に後任の佐々木則夫氏にバトンタッチするまでの4年間、西田氏はなにをめざして会社の舵取りをしたのか。>

Photo by GettyImages 佐々木則夫

僕がやったのは、成長を続けていくということです。成長といっても、利益も出ないようなシェア確保をするのではなく、「利益ある持続的成長」を第1番目の経営方針に掲げたわけです。

2つ目はそれをどうやって達成するのかということで、イノベーションを持ち出しました。中でも、「イノベーションの乗数効果」を発揮することを重視しました。

一つのイノベーションが起こったら、サービスもそれに付け加えて作っていくなど、一つのイノベーションに対して色々な事業を作ることによって何倍にも効果を膨らませる。そんな乗数効果を発揮するイノベーションを目指しました。

そして3つ目が「企業の社会的責任」で、4番目が「グローバル人財の育成」です。本当はグローバル人財の育成を3番目にしようかと思っていたんですが、まだその時期ではなく、それより重要なのは企業の社会的責任だと。

企業の社会的責任については「生命」「安全」「コンプライアンス(法令順守)」をあらゆる事業活動の最優先するとして、これをどの現場でも言ってきたし、IR(投資家向け広報)で海外に行った時も言ってきたし、国内でいろいろな工場で訓示する時も必ずこれを言ってきた。

そんなコンプライアンス重視を言い続けてきた男がね、2008年(のリーマン・ショック時)にあれだけ大きなロスを出すとわかっていた時に、100億や200億のロスを知っていて隠していたと――。

 

そんなバカなことがあるかと言うわけですよ。僕が知っていて、そんなものを隠しているなんてバカげた結論をどうして出せるんだ、ということですよ。

そもそも、自分が社長である間に利益を出そうと思ったら、固定費のカットをすればいいんです。あれだけ大きな図体の会社ですから、カットするところはいくらでもある。

しかし、それをやると将来の成長の芽を摘んでしまうんですよ。(西田氏後任の)佐々木(則夫元社長)がまったくそうだったんだけど。僕はそれをやらないで、利益をきちんと自分たちで生んでいこうとした。

もともと(西田氏が社長に就くまでの)東芝はほとんど成長していなくて、GDPの成長か、もしくはそれ以下でしか伸びていなかったんです。

それでは会社として持続的成長は不可能なので、ここでもう一回、新たなイノベーションを起こして、新規事業を作り上げていこうと。そういうことによって事業を成長させようとしていたんです。