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『陸王』の専務役で存在感 俳優・志賀廣太郎「脇役の流儀」

真面目な小市民を演じたら日本一 

主演俳優と並んで、彼がそこにただ佇んでいるだけで、場面の重しになっている。劇中で出番は少なく、目立つ役柄ではないのに、なぜか印象に残る。それは知識と経験がなせるわざにほかならない。

地味な役を地味に演じる

名前だけではピンとこない人も、この顔に見覚えはあるだろう。

俳優・志賀廣太郎(69歳)。取材場所に志賀は、着込んだチェックのシャツにジーンズというラフな姿で現れた。

この服装が、本誌が2年半前に行った取材時と同じ格好であることを伝えると、「そうですか、チェックしか着ないんですよ」そう照れながら笑った。

165cmと思いのほか小柄で、薄い頭髪もあってか、どこにでもいそうな中高年男性にしか見えない。だが、低音で響く声を耳にすると、どんどん引き込まれる。さすがは数えきれないほどのドラマや映画に出演している名バイプレイヤーだ。

 

現在放送中のTBS『陸王』でも、老舗足袋屋の専務「ゲンさん」を演じている。劇中では温厚なゲンさんが、ランニングシューズ開発に情熱を注ぐ社長(役所広司)に、
「失敗すれば、開発費は赤字になるんですよ!」と、ときに大声で反対する。

これは会社の存続を願うからこそ。リスクから会社を守ろうとする古株の思いに、視聴者も大いに共感した。同ドラマのプロデューサーである伊與田英徳氏が言う。

「志賀さんは、地味な存在の役を、そのままいい具合に地味に演じることができる。地味な役でもカッコよく演じたい役者さんも多いなか、配役のキャラクターや演出を理解して演じる志賀さんは貴重な存在だと思います。

アドリブは基本的には言わない方ですが、ときに的確な一言を付け加えてくれたりもします。たとえば、電話口で部下を叱るセリフがあるのですが、最後に台本になかった『バカ!』を付け加えてくれました。これも良かった。

『陸王』ではこれから先も、実直な役柄でいぶし銀の演技をしっかり見せてくれますよ」

彼が演じる中高年男性はストーリーに溶け込み、主役を引き立てる。同世代にダンディな二枚目やコミカルな三枚目はいても、志賀のような普通のオジサンを演じられる役者はなかなかいない。

いったい志賀廣太郎とはどんな人物なのか。