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AI ライフ 週刊現代

「人間不要社会」でヒトはどう生きるのが正しいのか

やることがないのに寿命は延びる社会で

AIに従えばうまくいく

「9時20分になりました。○●さん、おはようございます」

ベッドの脇に置いてあるスピーカーから流れる女性の声で目を覚ます。これはAI(人工知能)を搭載した高性能スピーカーで、目覚ましだけでなく部屋のあらゆるインフラを管理するターミナルになっている。

起床とともに、ネットワークで連携されている部屋の照明が自動でつき、カーテンも開くようになっているのだ。

AIスピーカーは今日のスケジュールや気象、交通など、行動するためのすべての情報を教えてくれる。これからどれくらい道が混雑するかも予測計算してくれるから、クルマで出勤しても到着時間の誤差は2~3分も生じないので助かる。

会社に向かう支度を済ませ、スマホでクルマの「手配」をする。マイカーは当然持っていない。税金や維持費がバカにならないし、都心部には人口が密集しすぎて、個人所有の駐車場を持つことはほとんどできなくなっている。

カーシェアサービスで、近くに停めてあるクルマを予約するが、わざわざ取りに出向く必要はない。自動運転車が家の前まで迎えに来てくれるからだ。到着時には空調が整った車内に乗り込む。非常に快適だ。

「オフィスに向かってくれ、あと途中でコンビニに寄りたい」

そう告げるとクルマは静かに走り出した。駐車ももちろん自動だが、仮に出先で駐車場が満車だったとしてもうろたえることはない。用事が済むまで、あたりの道を勝手に周回させるよう設定すれば済む話だ。

オフィスに到着すると、胸ポケットに「スマホ上司」を差し込む。と、さっそく今日の仕事の指示を出してきた。AI搭載のスマホは、我々の表情や体温までも正確に読み取り、リアルタイムで一挙手一投足をマネージメントする。

他社の動向から大きな取引が期待できそうな営業先まで、次から次へとAIが戦略や方向性を提案してくる。こちらから話しかけるまでもなく、AI側から自発的にアプローチしてくるのが当たり前の時代になったのだ。

 

仕事を持て余し、缶コーヒー片手にソファーでヒマをつぶす社員がオフィス内にいれば、とっとと働けと言わんばかりにメッセージがスマホに届く。毎度、いつまでたっても同じ話の繰り返しで、まったく生産的でない会議と判断すれば、AIは会議室の電源を落とし、続行困難にさせる。

合理的すぎてちょっと強引だと思うこともあるが、便利なことも多い。議事録は即座に書き起こしてくれるし、経費精算や書類作成もAIがアシストしてくれるので、ルーティンワークが劇的に減った。

10年ほど前に騒がれていた「働き方改革」が、テクノロジーの進歩によってあっさり実現したのだ。

思えば、「選ぶ」ことや、「迷う」ことがほとんどなくなった。ビジネスでもプライベートでも、難しい選択を迫られたときはAIがいつも最適解を教えてくれる。

もちろん最終的な決定は自分でするが、ほとんどAIの言いなりに物事を進めているだけのときもある。社長とAIさえいれば、ひとつの「大企業」を築ける時代になったわけだ。

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