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株価 経済・財政

野球で言えば「もう8回」。世界株高「9回裏」はいつか

米中景気もピークは見えてきた

ファンダメンタルズに比べて早すぎる株価の上昇

11月に入ってからも、世界の株式市場は上昇トレンドを維持している。

米国のダウ工業株30種平均株価、S&P500指数、ハイテク株の多いナスダック総合指数の主要3インデックスは史上最高値圏で推移している。

9日には、26年ぶりに日経平均株価が23,000円台を上回るなど、先行きへの楽観がリスク資産の価格上昇を支えている。

この背景にある要因を考えると、企業業績を中心に株価上昇期待を支える材料があることは確かだ。しかし、世界経済全体の回復のペースが速まっているわけではない。

言い換えれば、ファンダメンタルズ=経済の基礎的条件に比べ、株価の上昇はペースが速すぎるとも言える。

 

過去の米国を中心とする世界経済の回復に比べ、今回は労働市場の回復が進んでいるにもかかわらず物価が上昇せず、中央銀行が政策金利を低位に据え置いている。

この結果、世界的に”カネ余り”が発生し、長期金利が上がりづらく、より多くの利得を狙って株式などのリスク資産が買い上げられやすい環境が続いている。

2001年11月以降の米国の景気回復局面を振り返ると、足元の金利の低さがよくわかる。

2003年半ばに米国の失業率は6%台にまで上昇し、FRBは政策金利を1.00%まで引き下げた。その後、住宅バブルの膨張とともに景気が過熱し、2007年前半に失業率は4%台まで低下した。労働市場の回復に伴い、FRBは連側的に利上げを実施し、2007年8月の政策金利は5.25%だった。

米国の失業率は4.1%まで低下したが、政策金利は1.25%だ。労働参加率が低迷し、生産性も高まりづらいため、FRBは利上げに対して忍耐強く取り組むことを重視してきた。この政策スタンスは当面維持される可能性がある。

そうした見方から、残存期間の長い金利の上昇が抑えられてきた。2015年以降、米国の30年金利のピークは3.2%程度だ。

この金利の上がりづらさは、長期的な経済成長率が高まりづらいという一部の投資家の見方を反映していると考えられる。また、金利が上昇すると年金基金などが利回りを確保するために、押し目買いを進めやすい。

加えて、ユーロ圏、日本ではマイナス金利が導入されている。そのため、債券にくらべ株式などのリスク資産を選好する投資家が増えてきた。