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米元国防次官補ジョセフ・ナイの警告「金正恩を舐めてはいけない」

米政府の後悔を明かす
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「殺人者の政権」の今後

一方で、金正恩がいくら計算ずくと言っても、彼の行動の意味を解釈するのも非常に難しい。

9月15日以降、北朝鮮がミサイルを発射していないのは、中国が金正恩に対して、「我々は非常にシリアスである。事態を甘く見ていると思ったら大間違いだ」と圧力をかけたからかもしれませんが、真相はわかりません。

 

金正恩は、自分の叔父を処刑し、異母兄を暗殺しました。自分の敵になりそうな人物を進んで殺す人間です。そういう意味では金正恩政権が「殺人者の政権」であることを忘れてはならない。

金正恩が暗殺されたり、何らかの形で死んでしまったりするとどうなるか。朝鮮人民軍の誰かが後継者になるでしょうが、その人物が核を保持し続けるかどうかは、中国次第です。

中国が新政権をサポートすると申し出れば、ひょっとしたら核を諦めるかもしれません。

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真の解決策を見出すのは難しいですが、私としては、次に金正恩が長距離弾道ミサイル実験を行ったときに、中国を動かして、北朝鮮に対する食料・燃料の供給を止めさせる――。これがもっとも効果的で、現実的なように思えます。

「あの男は正気でない」と金正恩をみくびっていると、北朝鮮を封じ込められないどころか、全面戦争を避けることができなくなってしまいます。

(インタビュー/大野和基)

ジョセフ・ナイ
37年生まれ。'64年からハーバード大学で教鞭をとり、米民主党政権で要職を歴任、提唱した「ソフト・パワー」は、オバマ政権の外交政策の根本となる

「週刊現代」2017年11月18日号より