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独立したい?したくない? カタルーニャ現地人のホンネを聞いてみた

ついにバルサも声を上げ始め…
小宮 良之 プロフィール

「独立したほうが暮らしは良くなる」

筆者は10年ほど前、5年間バルセロナの中心部で生活した。その時住んでいたアパートメントの、カタルーニャ人の大家は生々しく、知り合いが痛めつけられた様子を語った。外国人と話すとき以外、彼はスペイン語を話さない。「カタルーニャ共和国」の誕生を強く望んでいたのだ。

「物価が高くなっているのに、給料は一向に上がらない。水道代まで上がっているのに」

バルセロナから南に電車で1時間ほど下ったタラゴナでは、タクシー運転手のマルクさんがぼやいていた。

「ひどい暮らし。これはスペインの行政の不始末だよ。きっと、偉い人間がお金を懐に入れているのさ。カタルーニャは独立したほうが生活は良くなる」

二人の娘がいるというマルクさんは、ハンドルを叩いた。

 

カタルーニャが急進的に独立に動いている背景としては、2000年代の不動産バブル崩壊から立ち直れていない経済状況がある。国に納める税金に比べ、公共投資などの配分が少ない。これに不満が高まる一方、汚職にまみれた州与党が崩壊。政治的混乱の中でナショナリズム的勢力が強くなった。

「少数派のナショナリスト政党『CUP』が政治混乱につけ込み、独立を煽ったの。選挙連合を組んで、独立推進派のプチデモンを推したのよ。それで一気に独立の勢いがついたの」

カタルーニャとスペインの境にあるジェイダ県出身の大学職員、アナさんは顔をしかめて説明した。

カルラス・プチデモン州首相(Photo by getty images)

カルラス・プチデモンは州首相に選ばれた途端、電撃的な行動に出ている。独立を問う住民投票を行い、さらには独立宣言までやってのけた。スペイン政府から憲法155条の適用で州自治権を一部停止され、反乱罪で首相として解任されるも、プチデモンはベルギーに拠点を移して盛んに活動を続けている。

スペイン政府は政治犯としてプチデモンの逮捕状を出し、その関係は修復できないところまできている。

沈黙していたバルサが…

もっとも、カタルーニャ州内を実際訪れても、日本で報道されているほどの深刻な混乱はない。公共機関は機能していたし、バルセロナ中心部は観光客で溢れていた。いつもと変わらないカタルーニャがあった。

しかし、どこかそわそわとした気配も感じられた。

「爺さんの時代にカタルーニャに移民で暮らすようになり、ここで結婚している。その孫の自分はカタルーニャ人だと思っているし、それに誇りもある。でも、独立する必要があるのか、やり方が正しいのか」

日曜日の地下鉄、独立反対派のデモに参加するという求職中の若者、ジョルディはもどかしげに言った。カタルーニャでは、移民の二世、三世も少なくない。彼の後ろには、スペイン国旗を体に巻き付けたり、スペイン代表ユニフォームを着た人々が続いた。

「独立なんて戯言だ!」

彼らは叫び、構内に消えていった。すでにカタルーニャにある大手企業や銀行が移転を表明。独立が進めば、更にその流れは加速するはずだ。

スペイン国旗を体に巻いた人々(筆者撮影)