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銃弾28発浴びた記者も…東南アジア最悪の「取材危険国」の実態

ジャーナリストは文字通り「命がけ」

不名誉な国際ランキング

地中海の小国マルタで10月16日、パナマ文書の報道に関わった調査報道ジャーナリストの女性が運転中に車ごと爆破されて死亡する事件があったことは記憶に新しい。この記者はマルタの大統領周辺の不正資金を追っていたとされ、犯人は本場イタリアのマフィアや中東のテロ組織も顔負けの方法で記者の口を封じた。

世界にはいまだに報道されることへの反発や報復、口封じのためにジャーナリスト、報道関係者を殺害するケースが後を絶たない。日本ではあまり感じられないが、世界では記者は「危険な職業」の一つと捉えられている。

米ニューヨークに本部を置く「ジャーナリスト保護委員会(CPJ)」が10月31日、新聞記者やカメラマンなど報道関係者が殺害された未解決事例の多い国を発表した。つまり、「ジャーナリストにとって危険な国ランキング」である(順位は未解決の記者殺害事件が5件以上の国が対象で、人口当たりの割合に基づく)。

最も危険な国はソマリア。次いで2位シリア、3位イラク、4位南スーダンと続く。これらの国は日常的に紛争や戦闘、テロがニュースで伝えられており、なんとなく納得できる。

さらに6位メキシコ、7位パキスタン、8位ブラジル、以下ロシア、バングラデシュ、ナイジェリアと続く。メキシコやブラジルは麻薬戦争の渦中にあり、銃による犯罪がそもそも多発するし、パキスタン、バングラデシュ、ナイジェリアは上位と同様の紛争、テロの現場であり、ランク入りは順当だろう。

 

そんな中、堂々5位にランクインしたフィリピンは、日本から地理的にも近く、日本人ビジネスマン、観光客も多数訪れる国だ。最近はドゥテルテ大統領による麻薬犯罪関連容疑者への「超法規的殺人」が話題となり、物騒な印象はあるものの、「麻薬犯罪と無関係であれば大丈夫」と思われているのではないだろうか。

ところがCPJの発表では超危険国と並んで5位。それでも昨年の4位からランクが下がり、危険度はやや改善されたというのだから驚きだ。

2012年11月23日に開かれた「マギンダナオ虐殺事件」の追悼集会 〔PHOTO〕gettyimages

日本では犯罪絡みや暴力団関連の取材、政治家や官僚、財界人の汚職問題の取材で、多少の脅しや懐柔、ブラックメールや怪文書、命に別状のない範囲での暴力沙汰はあったとしても、現在では「お命頂戴」「問答無用の銃弾見舞い」などまずありえない。

ところが、美しい海、あるいは東南アジア特有の混沌とした魅力に引き付けられて訪れる日本人、外国人が多いフィリピンでは、記者は「命がけの仕事」なのだ。