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「宇野昌磨、金メダルあるのでは」とマスコミがようやく気づいた理由

羽生と宇野、2人の才能を徹底比較

GPシリーズ第2戦で情況一変

フィギュアスケートのグランプリシリーズ2戦目、スケートカナダ。

日本男子シングルの「2番手」、宇野昌磨が、4回転ジャンプを4本中2本失敗しても、総合得点301.1点で優勝。宇野はこれで2試合連続で、総合得点300点越え。芸術面を評価する「プログラム構成点」も、ソチ五輪銀メダリストのパトリック・チャンを超える高得点を得て――。

やっとメディアの大勢が、「これはもしかして、宇野も金メダルの可能性があるのではないか?」と気づき始めた。少し前までは、「だって羽生のほうが、何をやっても点数が出るじゃないですか」などと言っていたのだが。

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もちろん、スケート関係者や長く見ている記者、多くのファンは、昨シーズンの時点からわかっていたはずだ。アーティスティックなスケートを見せる宇野が、3月の世界選手権で銀メダル。大きな実績を得たことで、来季は文句なくプログラム構成点を上げてくるだろう、と。

4回転ジャンプも、ほんの2年で立て続けに4種類も跳べるようになった今の勢いは、他のライバルを凌ぐだろう、と。体力面などのアドバンテージを考えても、追いかけている羽生結弦にいつ追い抜き、追い抜いてもおかしくない、と。

しっかり目を開けて見ていれば、オリンピック連覇の可能性のある羽生、羽生を破って初優勝の可能性のある宇野。五輪シーズンを前にして、同じ比重で取材・報道すべきふたりだと、わかるはずだ。いやむしろソチ以降、羽生ばかり報道してきた分、ここはぐっと宇野に注目しておくべきであり、今、追いかけていて楽しいのは成長曲線が鋭角な宇野の方だったはずだ。

しかし取材・報道はオリンピックチャンピオンの知名度を誇る羽生に集中し、グランプリシリーズが始まっても、その状況は変わらなかった。

そんな彼らがやっと、「もっと宇野を追いかけなければ」と気づいた。

それが今回のグランプリシリーズ第2戦だった。

 

恐ろしいほどバランスがいい宇野

スケートカナダでの彼の戦いぶりを見て改めて感じたのは、宇野昌磨は恐ろしいほどバランスがいい、ということだ。

まずは、ジャンプ、スケーティング、音楽表現。どこをとっても弱点がなく、いいバランスですべてに力を発揮できていること。ジャンプ技術は日々、目を見張る勢いで成長し、男子シングルの競技レベル向上を牽引するひとりであるのに、ジャンパーがおろそかにしがちなプログラムの完成度もとても大切にしていること。

日々の練習はストイックで、ケガに気を付けながらも最大限の努力を日々積んでいること。精神的にも安定して競技に集中し、試合に向けてのコンディション作りも着実なこと。メディアにもしっかりした言葉で対応し、現在の心情を包み隠さず語れていること。

彼の魅力を最大限に引き出したふたつのプログラムはどちらも高評価で、振付師でもある樋口美穂子コーチは、大切なシーズンに最高の作品を作り上げてくれたこと。樋口コーチだけでなく、山田満智子コーチ、マネジメント関係者や家族などのバックアップも万全で、傍から見てもまったく不安を感じないこと。