国際・外交

トランプ来日の足取りから見えた、日本の「完全主権喪失状態」

この国が抱える「最大の弱点」とは
矢部 宏治 プロフィール

私たちが直面する「残念な2つのこと」

米軍専用空域のなかを、アメリカ大統領をまねて、うれしそうに自分も軍用機(自衛隊機)でゴルフ場との間を行き来する首相のもと、私たちはこれからなにを手にすることになるのか。

いまのところそれは、「巨額のアメリカ製兵器の購入」と「自衛隊の海外派兵」、そして「世界中が懸念する偶発的な核戦争の危険性」以外に、何も考えられないのである。

私は多くの人と同じく、どうしても岸のことは好きになれないのだが、彼を評価せざるを得ない歴史上のシーンがひとつだけある。それは就任間もない1957年6月19日、訪米した岸が、首脳会談の席上でアイゼンハワー大統領から、当日午後のゴルフに誘われたときのことだ。

アメリカにとって、今後、日本との間で「より強固な軍事的協力体制」をスタートさせるということは、すでに既定路線だった。しかしその重責を担わせるべき岸という男は、いったいどれほどの人物なのか。

日米新時代の行く末がかかった、極度の緊張状態の中、スタートホールで岸の放った第一打は、見事なナイスショットとなった。

 

同じくゴルフを愛する、しかし才能に恵まれないプレーヤーのひとりとして、今回のトランプ大統領とのラウンドでの安倍首相の第1打が、どのような悲惨な結果に終わったか。

またそのあとのホールで、バンカーから慌てて出ようとした首相の身に、どのような信じられないトラブルが起こったか。具体的には書かないし、胸が痛んで、とてもここには書くことができない。

ただひとつだけ、岸首相と安倍首相、2人の日本国首相のゴルフ場でのシーンを思い浮かべながら、どうしても言っておきたいことがある。

安倍さん、直接あなたに会ったことのある人たちから聞くと、あなたは性格の良い、とても感じのいい人だそうですね。

でもあなたは、お爺さんとは違う。能力も、人間としての器も、まったく違っている。それこそが、いま日本が抱えている「最大の弱点」なのです。

どうか、アメリカ大統領と軍事的に肩を並べて「日米新時代を開く」などという、大それた夢はあきらめて、とにかくいまはただ、北朝鮮への無意味な挑発だけはやめ、偶発的な核戦争という人類史上の悲劇を招き寄せることのないよう、全力を尽くしていただければと思います。