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安倍総理が他人を信頼していないと思える「これだけの理由」

国民は「まっとうな政治」を期待するが…
山下 祐介 プロフィール

いや、あなたは人が、国民が怖いのでしょう。「弱虫」というのも、今回の選挙で出て来たあなたへの批判の一つです。

今回の街頭演説は、あなたはどこに現れるか分からないようにして、あなたを批難する人たちが集まることがないよう慎重になさっていたと聞いています。

福島の田んぼの真ん中で行った演説は無様でした。取材された記者たちがあとでせせら笑っていたようです。しかもその後、「復興」は票にならないと分かってか、演説にも取り入れなかったのですね。これも報道されていました。

原発事故を起こされ、誤った復興政策を押しつけられている人々の立場からすると、こういう被災地の利用の仕方はあんまりです。被災地で演説をすれば、批判は出ないと思ったのですか。

自分を批判する人たちがいないところでしか、その傲慢な態度が振る舞えないのだとしたら、それはたしかに弱虫です。また、あなたは何でもすぐに話の論点をすり替えるディベート術を身につけておられますが、すり替えはすり替えにすぎません。

そして国会とは、議論をし、討議をする場ですから、すり替えやヤジ、罵声や嘲笑は本来、あってはならないものです。

あなたの国会での態度は、若い人たちに見せられるものではありません。公正な議論はああした態度では成り立ちません。ましてそれを野党ではなく、絶対的力をもつ与党の党首が絶対にしてはなりません。

国会を軽視し、国民を国民を遠ざける国会議員が、実は最大与党の党首なのだという、この現実を、私にはどうにも受け入れることができません。

あなたの演説は確かにすばらしい。でもそれは見かけだけです。あなたが時折見せる振る舞いには、人格者からはほど遠いものがあります。

私は日本という「美しい国」の国民として、今のこの国の政治状況を本当に恥ずかしいと思う。それはあなたに原因があります。あなたには私たちを引っ張るリーダーとして、それにふさわしい人であってほしいのです。

 

私はあなたにとって非国民なのではないか

長くなりました。

そして社会学の立場からと申し上げましたが、こういうことは本当は、小学校や中学校で先生が生徒に教えるたぐいのものでしたね。またあなたのまわりのまじめな方まで悪く言いすぎたかもしれません。

でもあなたには、なんだかこんなふうなことを申し上げねば、自分の周りの浄化ができないところまで追い詰められているのではないかと本当に心配なのです。少なくともあなたの言葉をそのまま受け取る限りにおいては。

あなたの権力は絶大です。その使い方を失敗すれば、この国は大変なことに見舞われます。あなたの決断が、数百万人の、場合によっては数千万人の命さえ奪いかねないという責任をしっかり自覚してください。

まずは異論に向き合うこと、いったんあなたのまわりの人々を取り除き、正しいことを言っているのは誰なのかを見極めることです。

だがそれはもはや至難の業かもしれません。今できることは、早くこの政権を、まったく別の勢力に委譲することです。権力への執心が最大の悪なのです。これは歴史の法則でもあります。

あなたにはやりたいことがあったのでしょう。でももうタイミングを逸しました。それを示したのが、今回の選挙の引き金となった加計問題です。

あなたが抱える権力の危うさを内部告発で身を賭して教えてくれようとした正しい官吏たちがいました。そこがもしかすると、あなたが政権を本当の意味で正しく続けていける最後のチャンスだったのかもしれません。

でも、そのチャンスを逃し、むしろそこで危うくなった権力を保持するために、伝家の宝刀とあなたが信じている、やってはいけない解散権の濫用を行ったのでした。

私は怖い。

あなたがもはや、私たち国民のためにではなく、何か別のもののために内閣総理大臣という仕事をしているのではないかと思わざるをえないことが。

私はあなたが政権を預かる日本国の国民です。あなたには私を守る責務があります。

ですが、もしかすると、こんなふうに異議を唱える私は、あなたにとって国民ではないのでしょうか。

それは、私が原発避難者に味方した時点で、すでにそうだったのでしょうか。ましてこんな公開の手紙を書く私は「非国民」になるのでしょうか。

だとすると、私が今回投じた一票は、いったいどんな意味をもつのでしょうか。

敬具