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医療・健康・食

メロンを食べると死ぬことも!?「果物の王様」驚きの歴史

いまは「優良食材」だけれども

「医学の父」の解釈では…

ジューシーな口当たりと芳醇な甘みが魅力の「果物の王様」メロン。いまや一般家庭でもポピュラーなフルーツだが、歴史を紐解くと、「危険な食物」との扱いを長らく受けていたことがわかる。

〈口には甘いが、節度を持って食べないと、酸味で胃を悪くする。神聖ローマ皇帝フリードリヒ3世も、メロンを食べ過ぎて命を落とした〉

16世紀の旅行家、トーマス・コリアットは目を疑うような記述を残しているが、中世ではこのような見方が一般的だった。ほかの記録では、〈メロンの甘さはあまりに魅力的で、誰も抗えない〉ともある。メロンは中毒性の強い食物とも思われていたようだ。

なぜメロンはこれほどまでに危険視されていたのか。その答えは古代ギリシアの医学にまでさかのぼる。紀元前4世紀ごろ、「医学の父」ヒポクラテスは「四体液説」を唱えた。この説では、人体は4つの体液(血液、黄胆汁、黒胆汁、粘液)で構成され、バランスを崩したときに体調が悪くなるという。バランスを調整するのが食物で、こちらも4つのカテゴリー(熱、冷、湿、乾)がある。

四体液説では、メロンはスイカやパイナップルなどとともに「冷たく湿った」食物とされ、単体でそのまま食べると体を冷やしすぎ、バランスを崩す原因になるとみなされていた。

 

そのため、メロンは「熱く乾いた」食材と同時に摂ることが推奨される。熱く乾いた食材の代表は、プロシュート(生ハム)だ。いわゆる「生ハムメロン」は、古代からの医学に基づいた、理想的な調理法なのである。

メロンを「死に至る食物」というと笑ってしまう人も多いかもしれない。だが現代でも、'04年に北米でメロンを介した大腸菌感染で多数の死者が出ているから驚きだ。メロンの実は地面に生り、表皮がデコボコしているために菌が付着しやすいのが一因とされている。

このような歴史はあるが、メロンは腎臓病や高血圧の改善に効果がある「優良食材」だ。適切に調理しておいしくいただきたい。(嶋)

『週刊現代』2017年11月18日号より