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「絶対的権力者」安倍総理は、なぜ極めて危ういと断言できるのか

加計学園問題をもう一度考える
「拝啓 安倍晋三殿」からはじまった論考「安倍総理、あなたの読みは正しい…だからこそ警告したいことがある」は大きな反響を呼びました。今回は、いまだ真相が解明されない「加計学園問題」を考えます。

総理が潔白であるほど、大変な事件

森友・加計問題では、あなたに対し「嘘つき」とか「不誠実だ」という声が大きく上がりました。

7月の臨時国会であなたがふれた、「今年の1月20日にはじめて加計孝太郎氏が特区に獣医学部新設の計画を申請していたのを知った」という話は、ちょっと国民に理解させるには難しい話です。

それでも私は安倍さんを信じましょう。

また奥様の昭恵さんについては、東日本大震災の被災地をしっかりまわって、多くの人から信頼されているのは知っていますし、こうした奥様の活動は、私が知る限り安易な考えではできないことだと思いますから、夫婦お二人ともに、人間として不信を抱く者ではありません。たいへん尊敬しております。

でも、やはり問題は問題であり、それどころかこれはかなり深刻な問題だということを、ご自身でしっかりと受け止めなくてはなりません。

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何が起きたのかをはっきりさせなくては、今後の国の運営に非常に大きな害悪を及ぼす、重大な案件です。安易な気持ちで見逃してはなりません。これはふつうの事件ではありません。

というのも、それは総理、あなたが「自分は何も知らない」「何の問題もない」と言い切られ、さらに私がその言葉を信用するからこそ、そうなのです。

このことを取り違えないようにお願いいたします。あなたが疑わしいから問題なのではない。あなたが潔白であるなら、そうであるほど問題なのです。

国家の首相が知らないところで非常に強引と思われる意思決定が行われた。少なくともその決定に対し、省の事務次官にいた人が「行政が歪められた」と発言した事件です。ただ事ではありません。

あなたの知っているところで、あなたや誰かが動かして、そういうことが起きたのなら、問題はそれほど大きくないのです。そのプロセスを止めればよいだけですから。

あるいはあなたは知らないにしても、周りの人や現場が忖度して勝手に動き、こういうことが起きたのだと、そういうことであれば、その忖度をあなたが叱りつけ、やめさせればよいだけです。コントロール可能な事件ならば、それほど怖れることはありません。

 

問題はやはり、あなたやあなたのまわりの方々が否定しているのにもかかわらず、事業の現場である肝心の文科省から、政府の関与を示す文書が次々と出て来たことです。

現役官僚が、「これを進めてはいけない」と思わせるような何かがそこにはあったということです。こういうことは官僚の立場上、ふつうは出てきません。

よほど「おかしい」「これではなすべき仕事ができない」と思わせるようなプロセスが進んでいたと思わなくてはなりません。

その際――よいですか、この国の官僚はきわめて優秀で公正です。まさかと思いますが、そのトップにいるあなたが、彼らを信頼していないというのではないでしょうね。

あなたのこれまでの発言にはどうもそういう意味がこめられているようで、私はたいへん気になっています。あなたは行政のトップなのですから、官僚たちを信頼し、うまく彼らを使いこなさなくてはならない。

そういう立場なのだということを、きちんとわきまえなくてはなりません。まして彼らを「敵」と見なすなど、あってはならないことです。

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