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なぜミレニアル世代は「首相はずっと安倍さん」を望むのか

決して「右傾化」ではないのだけれど
松村 愛 プロフィール

強行採決も「強さ」?

でも、自民党がほんとうに若者の期待に報いることができる政党なのかといえば、疑問だ。

たとえば、消費増税分の使い道。自民党を含むこれまでの政権は、税収が増えた分を借金返済にまわして財政再建に充ててきたが、教育無償化といった「現世利益」に寄りすぎたバラマキは将来への借金のつけまわしになりかねず、若者たちの将来不安にこたえることにならないのは明らかだ。

自民党が野党時代に発表した党憲法改正草案に明記された「国防軍」をとってみても、徴兵制は採られないとしても、兵力として期待されるのは若者だ。アベノミクスのもとで不安定な非正規雇用が拡大し、影響を被るかもしれない若者が、なぜ安倍自民党を支持するのか――。

そのカギはやはり約5年間の「長期政権」だろう。ミレニアルは社会に目を向け始めてから「首相はずっと安倍さん」という世代だ。将来の自分の就職や雇用環境、また親の仕事や給与、その先の介護まで考えると「大きく変わるのは困る」と政治意識の保守化を強めるのもしかたない。

埼玉大社会調査研究センターの松本正生教授は、「強いものにひかれ、今ある現実を受動的に肯定する。そんな若者意識がどんどん底堅くなっている」と指摘する。

「先が見えない不安の中で、『高校生、大学生の就職率は過去最高』という首相のアベノミクスのPRは響きやすい」

スマホを通じて情報に触れるのが当たり前の世代でもある。メディア戦略でみれば、無策な野党に比べ、自民党は明らかに優位だ。民主党政権失敗の痛手から抜けられず、ニュースサイトを見れば「野党たたき」がいまだ目につく。首相らの「民主党政権批判」は街頭でもスマホでも受け入れられやすい。

「ニュースはスマホ」はもはや世代を超えた常識 Photo by iStock

ここから見えるのは、世代間の意識格差だ。

ミレニアルは安保闘争のような大きな政治運動を間近で見聞きした経験がなく、野党を巨大与党に対置させる意義がぴんと来ない。

 

自民党が大勝の勢いに乗じて、国会での野党の質問時間を削減しようと動くことに対しても、東京都内在住の女子大学生は、「選挙で勝ったんだから当たり前」と口にした。特定秘密保護法、安保関連法制、そして「共謀罪」法の採決強行さえも、「安倍さんのリーダーシップ」に映るのだという。

「強いもの」「安定したもの」への無意識の支持の一角が、ここにもうかがえる。

さらにこの若者の傾向は、今後強まる可能性もある。今回の選挙とミレニアルの意識に「教育」の影響を直結するのは早計かもしれないが、今後、確実に「教育」が変化しているからだ。