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経済・財政

日本ゼロ成長、中国6%成長が続いたら、2025年に何が起きるか

このままいけば中国だけでなく…

続く中国経済への期待

中国では10月18日に第19回共産党大会が開幕、25日まで行われた。5年に1度行われる中国政治の権力シフトを象徴する大きなイベントである。これまでの習近平総書記(国家主席)が進めてきた腐敗防止運動などの政治闘争を通じて、同氏による権力掌握が進んでいる、という見解がメディアで散見される。

毛沢東、鄧小平と「同等の格」のリーダーとして習氏が君臨する方向性がはっきりした、との見方もメディアで報じられている。

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筆者には、こうした見方が妥当であるかを判断する中国政治に関する深い知見はない。ただ、金融市場においては、2016年半ばから中国経済への期待改善が続いている。例えば、MSCIエマージング・マーケット指数というインデックスでみると、2017年初から10月後半までに中国を含めた新興国株は約25%と大きく上昇、米日などの先進国株式のパフォーマンスを上回っている。

新興各国において政治経済事情がそれぞれ異なるが、新興国株全体の方向性に、中国の政治経済動向が一定程度影響しているのが実情である。

2016年前半に中国が人民元の大幅切下げを余儀なくされるとの懸念が高まった時、市場参加者の新興国に対する見方は悲観方向に振れすぎた。当時、私たちは人民元の切下げを当局は行わないと楽観的に見ていた。その後、中国経済が、経済対策で安定を保っているとの認識が強まると、市場心理は改善に転じた。

実際には中国経済について明るい兆候はあまりないように思われる。ただ、かつてのような高成長ではないにしても、経済の安定が続くことで2016年までの行き過ぎた悲観が後退し続けていることが、2017年の新興国株ラリーのドライバーになっていると考えられる。

 

今回の共産党大会を通じて、習近平率いる政治体制に揺るぎがない、あるいは習氏のリーダーシップが強まったことが確認されたが、これを悪材料とする見方は金融市場においては少数派とみられる。

なお、私たちは今回の共産党大会が金融市場へ及ぼす影響は中立とみており、中国経済は2018年に緩やかに減速すると予想している。

中国経済の規模、日本経済と比べてみると…

中国経済の重要性を考えるために、経済規模について日本と比較した数字を確認してみよう。IMF(国際通貨基金)のデータによれば2016年時点で、日本の名目GDPが4.9兆ドル、中国の名目GDPが11.2兆ドルとなっている。

これが正しいとすれば、日本との対比で中国は2.3倍の経済規模を持っていることになる。もちろん、中国のGDP統計はしっかり整備されておらず、また統計を作成する地方政府がGDPを水増ししているとの報道も多い。

IMFによるデータも中国の政府統計から作られており、中国のGDPが本当に11.2兆ドルあるのかの疑念を、私を含めたプロの投資家は持っている。一方、これが実際にどの程度過大推計されているかは、誰もわからない。

参考までに、米国の名目GDPは同じ2016年時点で18.6兆ドルと、日本の3.8倍の規模となっている。中国経済の正確なGDPは分からないが、米国(18.6兆ドル)と日本(4.9兆ドル)のほぼ中間に位置するというのは、相応ではないかと筆者は考えている。

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実際に、世界経済そして国際商品市況の需給構造に、2000年代から急成長してきた中国経済が及ぼす影響は大きくなっている。例えば、2010年頃まで原油価格が1バレル100ドル前後の高値を維持していたが、原油価格が2014年末から半値以下に急落した。

これにはいくつか要因があるが、最大のエネルギー消費国のひとつである中国の経済成長率が長期的に低下し続け、需給バランスが緩むとの見方が広がったことがある。
そして、2016年前半から原油や銅などの商品市況のリバウンドが始まったが、これは中国経済への懸念が低下したタイミングと同じである。

つまり、中国経済への期待が反映される国際商品市況は、株式市場と同様に世界経済の先行指数として、投資家にとって重要なシグナルとなっている。