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介護 成年後見制度

裁判所がうっかりホンネを公表?後見人制度で露骨な利益誘導か

成年後見制度の深すぎる闇

専門家も驚く家裁「手引書」の中身

認知症の高齢者など、判断能力が著しく低下した人が、財産を悪意の第三者に奪われたり、間違った契約をして貯蓄を減らしたりしないよう、本人の財産権を停止し、それを肩代わりする後見人を置くとする、成年後見制度

最高裁事務総局家庭局を筆頭に、家庭局の配下にある全国の家庭裁判所が、これを推進している。

ところが、その家庭裁判所が、とんでもないミスリードを誘発する手引書を作成し、あろうことか弁護士や司法書士など、後見人につく専門職に利益を誘導するかのような記述をしていることが発覚した。

 

問題視されているのは、大阪家裁がインターネット上で公開している「成年後見申立の手引き」http://www.courts.go.jp/osaka/vcms_lf/ofc2812_18.pdf)だ。

[写真]大阪家裁「成年後見申立の手引き」より。問題部分を囲んだ赤枠は編集部で追記大阪家裁「成年後見申立の手引き」より。問題部分を囲んだ赤枠は編集部で追記

たとえば3ページ目では、「成年後見制度を利用されるにあたっては、以下の点について、ご注意ください!」として、次のように書かれている。

<3 候補者に関する注意事項

後見人等の選任は、家庭裁判所が総合的に判断して行います。後見人等には、原則として第三者専門職(弁護士、司法書士、社会福祉士等)が選ばれ、必ずしも申立てどおりに選任させるとは限りません>

この記述に、専門家らは驚いたという。なぜ驚いたのかは、以下順を追って説明していくが、一口に言えば「そんな『原則』は法律上、定められていない」のである。

批判を恐れて転換した「運用方針」

我々、一般市民からすれば、後見を受ける本人(被後見人)にとっても家族にとっても、いちばん納得できる後見人の候補は、本人のことをよく知っている親族だろう。

だが現在では、家族が老親の後見人になるつもりで家裁に後見制度の利用を申し立てても、家裁が親族を後見人に選任することは、基本的にない。

制度の発足初期に、後見人に選ばれた親族が高齢者の資産を横領するケースが複数、発覚したことで、最高裁家庭局が方針を転換したことが理由だ。司法側は、制度への非難が集まり、先行きが不安視されることを恐れたと言っていい。

結果として、2000年の成年後見制度スタート時には、後見人全体の9割を家族などの親族が務めていたのに対し、現在では7割が弁護士、司法書士ら専門職後見人が占めることになった。