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36歳を境に、大きな「世代の断絶」があることに気づいていますか

道理で話が合わないと思ったら…

「団塊」「バブル」「ロスジェネ」「ゆとり」「さとり」と世代間の価値観の違いが問題となっている昨今、仕事の成果よりも自分や仲間内との時間を優先する世代に、上の世代はどう向き合ってっていけばいいのか。

発売直後から話題を集めた『モチベーション革命 稼ぐために働きたくない世代の解体書』 著者の尾原和啓氏は、世代間の価値観の違いを乗り越え共存していく大切さを説いている。

数々の大手企業で勤務した経歴をもちながら、今ではバリで自分らしいワークスタイルを確立するオリジナルなキャリアを築く氏には、「新しい世代」がどう見えているのだろうか。

36歳が境界線「乾いている世代」と「乾けない世代」

--世代間での価値観の違いが問題になっています。なにが原因だと思われますか?

まず前提から説明すると、今回の著書では「36歳」を境にひとつのボーダーラインを設定しています。それより上の世代は、経済成長の真っ只中、大量生産・大量消費が良しとされた時代に生まれ育ちました。常に何かに枯渇していた「欲しいものがある」人たちです。

反対に下の世代は、経済成長もゆるやかに停滞し、ものが溢れる社会に生まれたので往々にして「欲しいものがない」人たち。前者を「乾いている世代」、後者を「乾けない世代」と定義づけています。

 

アメリカでは、だいたい36歳以下を「ミレニアル世代」と呼び、就労人口の約60%がそれにあたります。なかでも最も世代間ギャップの問題が顕著に出ている国は日本です。

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--なぜこの年齢を境に、世代間でのギャップが生まれてしまうのでしょうか?

尾原:乾いている世代が"勝ちすぎた"ことは大きいでしょう。無いものをなくしすぎたとでも言いましょうか。「団塊」「バブル」などと呼ばれた上の世代は、戦後の焼け野原の何もないところから、何かを生み出すことに達成感を感じて仕事をしてきた世代です。

当時は、"美女とワイン"といった贅沢することを糧に、出された指示をいかに早く・正確に遂行するかを考えて、前に置かれた階段をただひたすら登ればいいだけでした。

しかし、乾けない世代は、”意味があると自分が思えること"を"仲のいい人たち"と"ただやりこむこと"が大事だと思うようになっているんです。

ポジティブ心理学者のマーティン・セリグマンが提唱する「幸せの5種類」に当てはめると、上の世代が「達成」や「快楽」を追い求めて働いていたのに対して、下の世代にとっては「意味合い」「没頭」「良好な人間関係」がモチベーションの源。まったく価値観が違うのです。

昔はやることがハッキリしていたので、「いいからやれ」とお尻を叩かれながら言われたことをひたすらやってきたわけですが、商売の方程式は変わってしまいました。

すでに身の回りにはモノがあふれ、またそのモノですら周りが勝手にブラッシュアップしてくれて、自然に便利で快適な環境が整ってしまう世の中になってしまった。大量生産大量消費の安かろう・悪かろうはもはや通用せず、低価格でも高品質が当たり前。ファミリーレストランの格安ワインですら、めちゃくちゃ美味しくなっていますよね。

それに伴い、変化はビジネスの世界でも当然現れてきて、答えを作れる人・遊びを効かせられる人が必要になってきたと感じています。それなのに、日本的な企業文化のままだと、上司に判断を仰いでいるだけでタイムオーバーになり、変化に対応するどころではありません。思い切って現場の最前線で動く下の世代に決定権を委ねて、意思決定のスピードを上げる勇気を持つなんてことをしてもいいのかなと思います。

--確かに、決定権を委ねられると下の世代もやる気になりそうですね。

尾原:下の世代は納得できる「why(なぜやるのか)」がないと心のエンジンがかからないんです。でも、その変化に気づいていない上の世代が多いため、世代間の価値観の違いが問題になる。さらにタチが悪いのは、変化に気づいておらず、消費者も置いてけぼりにしているような会社が私の周りにもちらほらいることです。

例えば、「8Kテレビは綺麗で素晴らしい」とメーカーが言っても、みんながそんな性能を必要としているわけではなかったりするじゃないですか。

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