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医療・健康・食 週刊現代

二所ノ関親方も倒れた「サウナと水風呂」ヒートショックの恐怖

冬場のゴルフ、ジムも要注意

寒い冬は入浴中に突然死する人が急増する。だが、危険なのは浴室だけではない。急激な寒暖差により、心筋梗塞や脳卒中を引き起こす「ヒートショック」を防ぐためにはどうすればいいのか――。

丈夫な人ほど危ない

「親方は、ほぼ毎日このサウナに来ていました。日課だったのでしょう。親方が来るのはだいたいオープン直後の午前9時半ごろ。背が高いからとにかく目立っていましたね。風呂場で会うと、普通に話してくれる気さくないい人ですよ。

サウナと水風呂を何度も往復して、最後に洗い場で体を流して帰るのが親方のパターンでした。見た目は健康そのもので、本人も身体の強さに自信があったんだろうね。

いきなり水風呂に入ってからサウナに入ることもあった。普通の人間はそんなことできないでしょ」(サウナの常連客)

元大関・若嶋津の二所ノ関親方(60歳)が倒れたのは今年10月19日のこと。午前9時ごろ、朝稽古を終えた親方は、自転車で二所ノ関部屋(千葉県船橋市)から約1.5km離れた場所にある温泉施設「湯楽の里」へ向かった。

日課であるサウナに入ったあと、洗い場で1度目の転倒があったという。

 

「転倒後『気分が悪い』とおっしゃるので、しばらくリラクゼーションルームで休憩していただきました。その後、『もう大丈夫』と言って帰られました」(「湯楽の里」の女性スタッフ)

温泉施設を出た親方は自転車で部屋へ帰ろうとしたが、途中でふらつき、自転車に乗ったまま畑に転倒したとみられる。

その姿を目撃した女性が振り返る。

「『大丈夫ですか?』と声をかけると、親方は『大丈夫です。すいません』と恐縮しきりでした。その時点では普通に話ができる状態で、呂律が回らないようなこともありませんでしたね」

親方は泥だらけの状態になりながら、なんとか自転車を押して自力で部屋に戻ろうとした。しかし、その後3度目の転倒。午後4時ごろ、路肩に意識不明の状態で倒れているところを通行人が発見し、船橋市内の病院に救急搬送された。

5時間にも及ぶ開頭手術を受けて一命は取り留めたが、その後も親方の意識は依然として戻っていないという。

親方が倒れた原因は「ヒートショック」の可能性が高い。循環器内科を専門とするさかい医院の堺浩之院長が解説する。

「急激な寒暖差によって血圧が乱高下し、身体に悪影響を及ぼすことを『ヒートショック』と言います。人間は寒いと血管が収縮し、血圧が上がります。逆に温まると血管が広がり、血圧は下がる。気温により血圧が激変すると身体にかかる負担が大きくなるのです。

最悪の場合、心筋梗塞や脳卒中を起こし、突然死につながることもある非常に怖い現象です」

親方の場合、寒いなか自転車でやってきて、サウナで急激に体を温めたり水風呂で冷やしたりしたため、ヒートショックを起こしたと考えられる。

「サウナで限界まで我慢して、その後、すぐに水風呂に入ることを習慣にしている人がいますが、あれはまさに自殺行為です。

血管の収縮、拡張を強制的に引き起こしているわけですから、血管が丈夫な若い人ならまだしも、高血圧や糖尿病を患い血管が脆くなっている高齢者にとっては命の危険にかかわってきます」(前出・堺氏)