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「ネット左翼」の暴走で、日本のリベラルが消滅する日

【緊急対談】この国の政治のゆくえ
古谷 経衡, 辻田 真佐憲 プロフィール

例えば、豊洲新市場の問題で石原慎太郎さんが証人喚問されたとき、ネット右翼が石原さんと小池さんのどっちの味方だったかというと、100%石原さんです。あの件で、ネットではアンチ小池がものすごく増えたわけです。

左翼もそうであるように、純化された極端な集団って、主張が正反対の明らかな敵を攻撃するんじゃなくて、「主張が似てるんだけど少し違う奴」を攻撃するんですよね。連合赤軍もそうですが、極端な思想の持ち主がまず攻撃するのは身内。外から見ると同じ右翼、あるいは同じ左翼に見えるけれども。

辻田:そういう攻撃の矛先は自然発生的に決まっていくんですか? それとも旗振り役がいて、次はこっちだ、というのが決まるんですかね。

辻田真佐憲氏

古谷:どちらもありますね。最近のネットの右翼系動画サイトでは、一時期盛り上がった「チャンネル桜」に代わって「DHCシアター」が勃興してきているんですが、そういった動画サイトで火がついて騒ぎが広がるパターンと、もうひとつは自然発生的に「こいつはなんとなく怪しい」「この人は言動が反日」といったレッテルが貼られることで起きるパターン。

「ネット右翼は反民主党なんですか」という疑問は私も頻繁に聞かれるんですが、そうじゃない。ひょっとすると、彼らは安倍総理が好きというわけでもない。タカ派的な物言いをする政治家が清和会に多いから支持しているというだけで、要するにハト派が嫌いなんです。

辻田:今回も安倍総理の秋葉原演説が象徴的でしたけど、あの場で日の丸を掲げていた人たちは昔から活動しているんですか。若い方も多かったようですが。

古谷:ネット右翼にも新陳代謝があって、新規参入の人と古参の人、両方います。半々くらいですかね。意外と出入りが激しくて、最近だと、2012年の尖閣諸島国有化を知らない若者もいたりする。一方で、それこそ1990年代から活動している人もいる。両者は均衡していて、ここ最近は増えてもいないし減ってもいない。

辻田:ああいう熱狂は普段の生活だと経験できないですから、入ってみると楽しいんでしょうね。しかも主観的には絶対的正義ですから、相手を心おきなく罵倒できてしまう。これからネット左翼も、そういったネット右翼のコピーになってゆくのかもしれません。

立憲民主党とその支持者が、長期的な視点に立って意味のある議論を積み重ねていければ、リベラル政党も「もうひとつの選択肢」になりうるでしょうが…。

古谷:とはいえ、右翼側の惨憺たる状況を見てきた私からすると、ネット左翼の過激化を止めることもおそらく無理だと思います。

辻田:言説がどんどん極端になって、それが一部から熱狂的に支持されて、さらに過激になっていく、というサイクルに巻き込まれてしまうんですよね。しかも、さっきのセミナーの話じゃないですけど、閉じた世界の中でグルグル回るようになると、自分たちが過激化しているという自覚も持てなくなる。個々人の思想がおかしいというよりは、構造的な欠陥に入ってしまっているのが残念です。

古谷:左右の両方に言えることですね。

辻田:ネット右翼のロジックが左翼にもコピーされ始めている。